資料請求フォーム

新着情報

札幌市にある北海高等学校から
新着情報をお知らせしています。

校長 式辞

2022-03-01校長先生から

記録的な大雪と寒さが続いておりましたが、春の気配を感ずる頃となりました。
ただいま卒業証書を授与した第74期生390名の皆さん、改めて卒業おめでとうございます。私たち教職員もこの上ない慶びでこの日を迎えています。
皆さんは三年前、「充実した高校生活」を送りたい。その気持ちを強く持って本校に入学されました。一年生の時には、多くの学校行事や部活動、生徒会活動に参加して、自分の考えを広げ深めようと努力されました。道内で最も生徒数の多い学校の一つである本校は、学校行事を一つとっても、そのスケールの大きさと多様性を認めながらも、主体的に取り組む生徒の姿勢を感じることのできる学校です。当時、皆さんも、先輩達の姿に北海生が持つ創造性とヴァイタリティ溢れる行動力に尊敬の念を覚え、二年生になれば、次はいよいよ自分達がリーダーシップを発揮する番だと気持ちを高めてくれていたことでしょう。
誰もが想像しなかったコロナ禍になってからも皆さんは気概に溢れ、何事にも前向きでいてくれました。にもかかわらず、学校生活に必要なメリ・ハリを創り出すことができなかったことは、とても悔しく残念で、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
感染拡大は、まさしく波のように繰り返されましたが、最低限、授業と課外活動ができたことは、他ならぬ皆さんの御陰であると感謝しております。
三年生になってからは、二年ぶりに高体連・高文連などの大会が開催されました。各部とも準備の時間が少ない分、皆さんは、部員同士で工夫や思考を重ね、探究心を持って活動をされました。諸活動は集団の中での人との関わり方や現実社会を生き抜いていく力を得るための貴重な体験の場ですが、皆さんが経験したことによって得たそれらのスキルは、質の高いものになったと思います。
そして、結果としても、柔道、陸上競技、新体操、女子テニス、アイスホッケー、フィギュアスケート、水泳の七つの運動部と書道部、新聞局が、全国大会に出場して校名を高めてくれました。
加えて皆さんは、本校の歴史に新たな記録も残してくれました。それは、昨年、創部120年の節目にあった硬式野球部が、二年生の秋、三年生の夏に北海道大会で優勝し、十年ぶりの春夏連覇と通算39回目の夏の甲子園、全国最多出場記録を更新しました。そしてサッカー部は、高体連全道大会の初戦で敗退した悔しさをバネに、選手自らがチームを一から見つめ直し、最大の目標としていた第100回記念となる選手権大会に、ノーシードから全道の頂点を極められました。北海高校は、創立136年という長い歴史を持つ学校ですが、同じ年に硬式野球部とサッカー部が、この三つの全国大会すべてに出場を果たすことができたのは史上初めてのこととなりました。
私たちは、試合会場やスタンドでの応援はできませんでしたが、皆さんはいつも各部の選手らが、無事に大会に臨んで欲しいと心から願い、仲間の普段の努力を称え励まし合ってきました。コロナ禍にも関わらず、多くの成果を得られたことは、一つに、皆さんが互いを思いやる気持ちを強くし、その祈りが一つになって成し得たものだと考えます。皆さんの中には、いま現在も受験に挑んでいる者がいますが、その仲間に対しても同じようにエールが送り続けられていることでしょう。
第74期生の強みは、一人ひとりが到達した喜びを共に分かち合えることのできる集団であることです。 
コロナ禍を悲観する気持ちは、あちらこちらにありますが、皆さんは何も経験することができなかった高校三年間では、けっしてありません。人のことを思いやることの大切さや逆境から逞しく立ち上がることのできる強い精神力を身につけることができた、内容のある三年間であったに違いありません。厳しい日々を過ごした皆さんこそ、ものごとの本質を理解することのできる「質実剛健」の精神と、失敗を恐れず挑戦し続けることのできる「百折不撓」の精神を、しっかり備えることができていると確信しています。
皆さんには、どのような時にも北海高校の卒業生であることを誇りに思い、社会の荒波の中でも自信を持って人生を歩んでいって欲しいと願います。ここで、皆さんへのはなむけに、詩を贈ります。

私は いばらのない道を求めない 
悲しみが消えようとも求めない 
日のあたる毎日も求めない 
夏の海も求めない
輝く陽光と永遠の昼のみでは 大地の緑はしぼみ衰える
涙の水がなければ 歳月を通じて心の奥底は希望のつぼみを閉じる
人生のどんなところでも 気をつけて耕せば
豊かな収穫をもたらすものが 手の届く範囲にたくさんある

この詩は、サミュエル・ウルマンの

人生航路の贈り物

というものです。
私たち人間は、できれば苦労を避け楽しく暮らしたいと思うものですが、この詩からは、楽をして生きたいという考えでは、むしろ「人生の本当の喜びは得られない」ということに気づかされます。楽しさを求めようとすればするほど、逆に喪失感が増えてしまうことがあることを、私たちはコロナ禍を生きる中で実感してきました。
人生は予期せぬことの連続ですが、苦しい道を歩き続ける中で希望の光を見出した時の喜びは、苦悩のない中で得られる喜びとは比較にならないほどの幸せを感じるものだと思います。
この詩の最後に、「気をつけて耕せば 豊かな収穫が得られる」とあります。気をつけるべきことは、他者の気持ちを理解できる心を持ち続けること、そしてよく考えて行動することではないでしょうか。
どうか皆さんには、本校での経験で培われた人間力を置かれた環境の中で醸成させ、世界中の多くの人と協働して今後の社会、そして自分自身も幸せにしてもらいたい。心からそう願っています。
最後に一つお願いがあります。この二年余り、皆で校歌を歌う場面がありませんでした。近い将来、私たちが再開した時には、声高らかに校歌を歌う機会があって欲しいと思っています。どうか母校の校歌を大切にして下さい。
結びとなりましたが、保護者の皆様に一言申し上げます。保護者の皆様、改めてお子様のご卒業おめでとうございます。お子様の成長を願って支えていただいた皆様には、さぞかしご苦労も多かったと存じます。また、コロナ禍における教育活動では、多くのご迷惑、ご心配をおかけしてしまいました。にもかかわらず、この三年間、北海高校の教育活動にご理解とご協力を賜りましたことに心より感謝を申し上げます。
卒業生の皆さん、そしてご家族の皆様のご健康と益々のご発展を祈念して、以上式辞といたします。

令和四年 三月一日   
北海高等学校長 秋山秀司

カテゴリ
お知らせ
学校公開
校長先生から
フォトギャラリー
月別アーカイブ
最近の記事
最近の記事