【学校行事】避難訓練後の校長講評
2023-10-02お知らせ
今回、全員の避難が確認されるまでの所要時間は 9 分45 秒でした。例年が11 分30 秒ですので、時間的には過去最高の記録であったいえます。また、感心したのは移動中を含め、グランドに集まってからも誰一人おしゃべりなどせずしっかりと次の行動に備えられていたことです。大変立派でした。
しかし、肝心なのは目に見えていないものです。行動としては良いのですが、皆さんの心の中でどのような気持ちで避難をしたのかです。正直、この訓練は形式的なものでしかありません。まして、北海学園には、2 つの高校、2 つの大学があります。また、大きな災害が起これば近隣の人たちも一時的にこのグランドに集まるはずです。そして状況によっては指示する人もいない状態で、もしかすると校舎の向こう側の札幌高校のグランドに避難することが得策にもなります。つまり実際の災害となると相当な緊張感があるはずです。今日の訓練の中でも最低限の緊張感を感じながら行動することができたでしょうか。その点、一人ひとりが振り返ってみてください。
今年は、関東大震災からちょうど100 年が経ちました。この1 世紀に、日本では何度も巨大地震が起こっています。ここで皆さんに一つ質問します。現在の研究から、首都直下型地震は、30 年以内にどれぐらいの確率で起こると言われているか知っているでしょうか。この答えは70%以上です。
震災は、地震の規模や種類だけではなく、その時代や暮らし方によって、被害が全く異なります。例えば昔の家は耐震性のない木造住宅でしたから火災による被害が多かったです。東日本大震災の時の被害は、9割以上が津波によるものでした。住宅をふくめ耐震性が高くなってきている現代においてはどうでしょう。最も多いのが家の中で家具などが倒れて下敷きになり逃げ遅れてしまうことです。私は、今後必ず起こり得る震災への教訓として参考にすべきと思うものは阪神・淡路大震災ではないかと思っています。都市直下型地震で命を守る勝負は、あの地震により「初めの20 秒が全て」であると言われるようになりました。20 秒をどう生き抜くか。まずは、今日も実践したと思いますが、頭を守り頑丈なものの下で身を守る。避難できるようになれば、可能な限り正しい情報を共有し、とにかく身体一つ、戻ることなく避難することです。
そして、備えとして重要なのは「防災への学習意識」です。昨年、内閣府が防災調査をした際、家具家電などを固定するなどの転倒防止対策をしていますかという質問がありました。この答えは 8%以下でした。皆さんの家ではどうでしょうか。震災はどこで起こるかわかりません。今一度、皆さんの家でも点検をお願いしたいと思います。家族でも防災について話し合う機会を設け、ハザードマップを見たり、自分の家が建つ場所の状態などについても調べるなど、普段からの防災への学習意識を高めて欲しいと思います。