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札幌市にある北海高等学校から
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入学式 校長式辞

2021-04-09校長先生から

陽射しにやわらかな春の兆しが感じられる季節になりました。本日は、規模縮小とはいえ、このように令和3年度入学式を挙行できますことは、私たち教職員にとりまして大きな慶びであります。

まずは、北海生となった416名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。私たち教職員、そして皆さんの先輩となる2年生・3年生も皆さんの入学を心より歓迎しております。

昨年度、皆さんはコロナ禍にあって、多くの不安を抱えながらも、人生の大きな節目となる高校受験に挑み、その局面を乗り越えてこられました。逆境の中では、様々なことがらに対して自ら考える機会があったはずです。自分自身を見つめ直すきっかけになった人、あるいは、不自由さを感じる中、自分のことだけではなく、他者のために「何ができるか」「何をすべきか」を考え、自ら行動をとった人もいるかも知れません。きっかけはどうであれ、皆さんのそれらの経験や行動は、これから皆さんが人間的に成長していく上で、必ず財産になるものです。

今日からは北海生となって、この学び舎で新たな友と出会います。高校生活を通じて経験するもの全てが、皆さんにとって、価値ある人生の土台になってくれることを信じてやみません。

北海高校は、1885年(明治18年)に創立された北海英語学校を起源とし、創立以来、今日まで135年の歴史を刻んできました。既に4万1千人を超える卒業生は、本校の卒業生であることを誇りに、全国さまざまな方面で活躍をされています。

本校の前身である旧制北海中学校第二代校長の戸津高知先生は、生徒の個性と自学自習、自治的精神を尊重する教育者でした。当時、戸津先生は折に触れ、生徒に「北海生よ、タンポポであれ」と語っていたそうです。皆さんは、タンポポの花をどのようにみているでしょうか。タンポポは、特定の環境でしか咲けない花ではありません。自分が根付いた環境に適応し、時にはアスファルトの割れ目からでも芽を出します。葉や茎が刈り取られようとも時期を見て必ず再生し花を咲かせます。それはしっかりとした「根」を持っているからに他なりません。見た目が綺麗で、部屋で飾られるような花であっても、根が脆ければ環境の変化に対応できず、すぐに枯れてしまうでしょう。植物も人間も同じです。

学力、体力、そして心の力と書く心力などにおいて、本当の強さを手に入れるためには、見えないところで地道に努力をすることが必要となります。中でも素直さや他者の気持ちを理解できる誠実な内面性を磨くことは、それが人間的基礎力になるものと理解して、常々その自覚を持ち続けることが重要です。

北海高校の教育活動の「根」に当たるものを建学の精神といいますが、それは「質実剛健・百折不撓」です。ちょうど皆さんから見てステージ左側に掲げられている書がそうです。この意味は、「明朗・快活で己を飾らず、誠意を持って物事に当たり、どんな困難にあっても挫けない強い意志で自分を鍛える」というものです。どうか、皆さんの中にも、北海高校のDNAを持った「根」を強く育み、タンポポのように、それを深く伸ばして、逞しい青年になることを将来の目標にして下さい。そして、自分を活かすことのできるふさわしい場所に飛んで行き、自分らしい花を咲かせてもらいたいと願います。

皆さんは今、高校生活のスタート地点に立ちました。義務教育を終え高校に入学した今この時が、自分自身の人生を自らデザインしていく、自律した自分づくりのはじまりです。己を律するために、「学びの質の向上」は不可欠です。これまでとは違う意識を持ってもらうために、3つの言葉を紹介したいと思います。

それは、「知りません。教えて下さい。お願いします。」の3つです。これらの言葉は、フランス哲学研究者の内田樹氏の著書、「学ぶ力」という本の中で、人の成長に必要なものとして記されている箇所を要約した際、キーワードとなる言葉です。少し拡げて説明をすると、人の成長に必要なのは、まず、「自分が無知であるという自覚もっていること」、そして、「自分にとって何が先生になるのかを探り当てる力を備えること」、最後に「礼儀正しさ」だと内田氏は述べられています。

高校の勉強が中学校までの勉強と違うのは、端的にいうと、学ぼうと思った者にしか学力は得られないということです。勉強は作業ではありません。正解の無い世の中の課題に対峙する時、必要となる学力は、暗記による知識ではありません。また、誰かにさせられている感覚で勉強を続けても、学力を伸ばすことはできません。「なぜ、どうして」という学びの本質への渇望が何よりも重要です。すべては、自分が学ぶ必要性を自覚することです。しかし、それが難しいと感じるなら、まずは自分の先生を捜してみることです。先生とは、学校の先生はもちろんですが、クラスの友人であったり、学校生活を通じて見えてくる先輩の姿であったり、本の中にある言葉や日常のふとした場面にも存在します。そのようなものを見つけられる観察力、そして共感する力を備えようとする努力から始めるとよいでしょう。そして謙虚さを忘れないで下さい。勉学に限らず、本当に学ぼうと思ったときに、人は謙虚になります。謙虚になったとき、人は自然と礼儀正しくなるものです。「知りません。教えて下さい。お願いします。」生涯にわたり学習をしていく皆さんは、高校時代に限らず、一生学び続けることが必要ですから、その姿勢づくりのために、どうかこの言葉を胸に深く刻んで、これからの北海高校での生活を有意義なものにして欲しいと願っています。そのために、私たち教職員も精一杯、皆さんをサポートし、この三年間、皆さんと共に歩みたいという思いを新たにしています。

 結びとなりましたが、保護者の皆様にはお子様の教育を本校に託していただき、心よりお礼を申し上げます。ご期待にそえるよう教職員一同力を尽くしてまいります。今日から始まる北海高校での三年間が、新入生の皆さんにとって人生の確かな土台となることを心から願い、以上、式辞といたします。

令和3年4月9日 北海高等学校長   秋山 秀司

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