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新着情報

札幌市にある北海高等学校から
新着情報をお知らせしています。

前期終業式 校長講話

2021-09-30校長先生から

今日で前期が終了し、明日からは後期となります。3年生はいよいよ推薦入試の出願・受験の時期を迎えることになります。また、来年1月以降の一般入試に向けては、後期の学習計画をしっかりと立て、その通りやり遂げる決意を、強く持って下さい。
今から受験当日まで努力したことは、皆さんが想像している以上の成果に繋がるものと私は確信しています。過去の先輩達のデータからも十分いえることなので自信を持って邁進して下さい。また、2年生、1年生は、少し長い期間を見通した過ごし方が大切だと思います。随分先の話に聞こえるかもしれませんが、春休みを含めた比較的大きな期間の中で、「自分の生き方」としてのビジョンを持ち、同時に小さな目標を一つ一つクリアしていく細かな計画を考えてみてはどうでしょう。将来を見据えたメリハリのある生活を心がけ努力して欲しいと願います。
さて、前期を振り返ると、オリンピック・パラリンピックがありました。オリンピアンの挑戦する姿に、私は勇気と感動を得ました。開催延期となったこの一年間、アスリートはどんな思いで逆境を乗り越えてきたのでしょう。この間、私たちが経験してきた様々な苦悩と重なり合う点が多いことからも、彼らの精神力の強さに自然と共感できる人が、きっと多いのではないかと思っています。
一方、感染力の強い変異株が拡大し、新型コロナウイルスの新規感染者数は、私たちの想像を遥かに超える規模になりました。二度にわたる緊急事態宣言、そして延長を受け、私たちの暮らしと学校の取り組みに大きな影響を受けました。そのような状況下、北海高校では、とにかく感染予防にできる限りの対策をし、皆さんが努力してくれたお蔭で、学校を大きく止めることなく、授業と部活動については、何とか取り組んでこられたと思っています。
改めて皆さんの学校に対する理解と協力に心から感謝をいたします。ただ、これまでの学校行事についてですが、「学校生活アンケート」にも多くの意見が出されました。その時その時の状況に鑑みて苦渋の選択をせざるを得ませんでしたが、皆さんからの意見は真摯に受け止めています。本来の形で実現できなかったものが多く本当に申し訳なく思っています。私も北海らしい伝統的で活発な行事を、皆さんと一緒に楽しむことができなかったことが残念で、とても悲しいです。コロナ禍での私たちの行動は、感染予防に対して本当に努力を重ねてきました。皆さんの心の奥には、色々なことに挑戦したいという意欲があることは十分感じていますが、同時に我慢をしてくれている皆さんの姿に、先生方も大変心を痛めています。
それでも、私は皆さんにお願いしたいことがあります。それは、君たち生徒同士の気持ちの中に、しっかりとした北海生としての誇りを持ち続けてもらいたいことです。北海高校が大切にしているものの中には人間教育があります。どのような状況にあっても、自分がいま直面していること、やるべきことに全力で努力することこそが、実は仲間のことを認め応援することになるということ。そしてそれは自分自身を大切にすることにもなるんだ。そういった心の繋がりを大切に考えられることは、自分の視野を拡げられるものになります。とはいえ、私たち人間は「当たり前」のことができないことでネガティブになってしまいます。大きなストレスを抱え不満の気持ちを持ったりしてしまうこともあります。
皆さんは「レジリエンス」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。レジリエンスとは、もともとは物理学用語で、外から力が加わって変形したものが元の状態に戻る「復元力」を指すものです。今では心理学用語として、「強いストレスを跳ね返すことのできる力」という意味で、それを備えておくことがコロナ禍を生き抜く上で必要になってきているとも言われています。
もし、ストレスを跳ね返す力がなければ、物事をはじめからすべて否定的に捉えてしまったり、判断に柔軟性が欠けて、白か黒かのようにどちらかに決めつけてしまったり、あるいは、すぐに他と比較してしまうなどのように、視野が狭くなってしまうと考えられています。
 そこで、レジリエンスを強くする方法として考えられるのは、とにかく前向きな思考を積極的に取り入れていくことだろうと思うのです。辛いことがあっても、新たなことを学ぶことができたという実感を持つようにしたり、メリットの方を考えてみたり、また、感謝の気持ちを持つことも重要だとされています。自らの心の中にゆとりを持つには、まず物事を「肯定的に受け止められる力」が必要となります。今後の皆さんには、それぞれに確かな目標があると思いますが、その達成には大きな自信を持つことが必ず必要になります。様々な場面で自信を持って取り組んでいくためにも、北海生は元来、「質実剛健・百折不撓」の精神で、しなやかな考え方で多くのことを受け入れ逆境を乗り越えられる、そんなレジリエンスを建学の精神の基、日常的な生活の中で磨いてきているのが自分たちであるということを再認識してもらいたいと思います。
現在は、運動部の多くが代替わりし新チームとして大会等にも挑んでいます。また、文化部の大会等も本番を迎えます。幸いにも明日から緊急事態宣言が解除されますが、これまで取り組んできた感染予防を少しでも緩めてしまえば直ぐに元に戻ってしまうでしょう。ある専門家は、解除されるからこそ、なおさら予防意識を持つことが大切であり、慎重さが欠ければ11月にもまた大きな感染拡大があり得るだろうと言っています。そうなれば、また多くのことにブレーキをかけざるを得ません。特に3年生の進路決定には大きな影響がでてしまいます。皆さんには引き続き、学校、また家庭内においても基本的な感染予防に徹してもらい、それぞれの取り組みに着実にのぞんで、より良い結果が出せるよう努力して下さい。
後期は「オール北海」の気持ちでスクラムを組み、共に支え合いながら頑張っていきましょう。

夏休み明け 放送による校長講話

2021-08-23校長先生から

少し長めの夏休みが明けて、今日から授業再開です。3年生はいよいよ具体的に進路を決定しなければならない時期がやってきました。これからの時間の使い方には、今まで以上に一日一日を大切にして、よりよい進路の実現に向けて頑張ってください。1・2年生も将来を見据えながら意思を固め、方向性を決定しなければならない時期になってきています。自分と向き合うことを大切にして、なすべきことに取り組んでもらいたいと思います。

さて、いま報告にもありましたが、夏休みに入ってまもなくして、硬式野球部が甲子園出場を決めてくれました。全校的な応援はできませんでしたが、南北海道大会には、炎天下にも関わらず学校を代表して精一杯の力で演奏をしてくれた吹奏楽局の皆さんの力とテレビ越しでもエールを送り続けてくれた全校生徒の気持ちが優勝への後押しになってくれたと思っています。野球部の頑張りはもちろんですが、応援してくれた全校生徒諸君にも心から御礼をいいたいと思います。本当にありがとうございます。

野球部にとって今回の夏の甲子園出場は4年ぶりです。全国最多出場も39回に記録が更新されました。そればかりではなく、10年ぶりになしえた春夏連続出場は並大抵のことではありません。選手たちは、戦うべき最大の相手が自分自身であるということを強く自覚して大きく成長することができた証だと思っています。甲子園に行ってからは豪雨による順延が続き、チームは状態を維持しなければならないという課題を抱えることになりました。神戸国際大付属高校とは、奇遇にも選抜大会に続いての対戦となり、何とか前回の借りを返したいところでしたが、相手も思いを強くして臨んでいるチームです。僅差で初戦突破とはなりませんでしたが、創部120周年の節目に、選手たちには本当に素晴らしい試合を見せてくれたと感謝しています。ベンチメンバーだけではなく、スタンドからも強い思いを届けていた野球部員たちを誇りに思うとともに改めて野球部諸君の健闘を称えたいと思います。

そして、この野球部以外にも、夏休み前の集会で壮行された各運動部・文化部の諸君も、それぞれの大会に出場し最大限の力を発揮してくれました。2年ぶりにインターハイが開催されたことを含め、北海生の活躍を随所に見ることができ大変嬉しく感じました。コロナ禍で開催される大会に参加するには、常に気を遣いながら苦労の多い大会であったと思います。また、全国のレベルは高く、その頂点を目指すには更なる険しい道のりとそれをクリアするための力が必要であることを、大会を通じて感じ取ったことでしよう。

ここで一つ言葉を紹介します。「山上に山あり、山また山」山を登ったところには更に山があるというものですが、この言葉は、保健室前の廊下に南部忠平先輩と並んでおかれている胸像の黒川利雄先輩の言葉です。黒川さんは、がん研究の第一人者として、また東北大学学長を務められ文化勲章を受章している日本を代表する医学博士ですが、かつて本校を訪れた際、後輩に向けて贈られた激励の言葉です。学問・スポーツを問わずどのような分野においても、一つ大きな目標を達成しても、そこが終わりではなく、更にその上にある次の目標にむけて、常にチャレンジし続けていくことの大切さを伝えている言葉です。

この夏までに、北海生は勉強にも部活動にもそれぞれの目標に向けて取り組み、それぞれの結果が伴っていると思います。当然、結果には差がありこれからの人もいますが、大事にしてもらいたいのはここまでのプロセスの中で苦悩したこと、悔しさをバネに取り組んできたこと、こだわってきたこと、工夫をしてきたことなど前向きな行いです。その経験は今だけではなく、必ず人生の宝となっていくことを信じて、これからも基礎・基本を充実させて、次の目標に繋げていく気持ちの整理と切り替えをしてもらいたいと思います。

北海生の良いところは、ひとり一人が目標を持って、互いに切磋琢磨しあえる集団であることです。いろいろなことにチャレンジをしていく中で、他者の努力を認めあい、励まし合うことは本当に重要です。支援や応援には、形として見えるものもあればそうでないものもあります。例えば、家族から得られる支援には経済的なものもあれば、常に見守ってくれているという安心感も大切な支援の一つです。自分のことを良く解ってくれている家族からの支援は言うまでも無く大きなものですが、同じ環境の中に置かれている仲間や友人、そして先生との間に信頼感を高め、励ましの気持ちを強くしていくことが、共にそれぞれの目標を達成していくための絶大な力となります。同じような苦しみや悩みに共感し、それを一緒に克服しようとする経験を、ぜひ大切にして欲しいと願います。また、より多くの人から支援されるためには、常識的人間性を兼ね備えることも必要です。前期末までに、また一つ人間的成長ができるよう皆で頑張りましょう。

本来ならここで話を終えるところですが、今日はもう一つ、皆さんに強いお願いがあります。それはコロナ関係についてです。(略)

コロナ禍では、できなくなってきていることが本当に多く、どうやったらできるかを考え、工夫をすることが大切だとされていますが、今日の状況からは、その前にまずは感染しない、させないという根本的なところから自身の行動を点検し、強い予防意識を改めて持つことが大切になっています。家庭内感染の事例も多くなってきていますので、自宅での生活においても家族といっしょに予防意識を高めて下さい。お願いします。

夏休み前 放送による校長講話

2021-07-21校長先生から

 二日間に渡るGD・DAY WithB、皆さんお疲れさまでした。

 今回、皆さんの柔軟な考えと吸収力を持って、「新たな北海祭の在り方」をテーマに全校規模の討論ができたことは、大変意義のある素晴らしい企画でありました。これは、実際に取り組んでいた皆さんの様子、表情を見ての素直な感想です。また、成果発表となったプレゼンでは、求められている目的を理解し、その内容から本校生徒会の自治力の高さを感じることができました。中には先生方を巻き込んだ企画や、はるかに想像を超えるようなものも幾つもあって、プレゼンを聴いていてとても楽しかったです。皆さんの企画が実際のものとなるには、まだまだ時間を要し研究を重ねることが必要ですが、ぜひ今後の生徒会活動、次年度以降の北海祭づくりに活かして下さい。

 これに関わって、もう一つ私から皆さんにお願いがあります。プログラムには、全体発表の振り返りというものもありますが、私からは、特に昨日のグループ討論の中で、素直に面白く感じたこと、やって良かったと思ったこと、誰かに助けられたとか、新しい発見とか、そんな場面を思い起こして、それを大事にしてもらいたいと思っています。

 生徒の力でこれだけのことができたということを、1つの成功体験として感じて、ぜひ、お互いを称えあえる豊かな感情を大切にしてもらいたいです。それが良い思い出にしていけるきっかけになるものと思っています。

 さて、明日からいよいよ夏休みです。2年ぶりに開催されるインターハイ出場、また受験勉強など、3年生は高校最後の夏となります。学年を問わずいえることは、今すべきことを明確にした上で、焦ることなく、一つ一つの行いを丁寧にこなしていくことです。学習面では、弱点を見極めて、基礎を固めることが必要な時期と考えるべきでしょう。しかし、その理解ができていたとしても、思うようにいかないケースも少なくはありません。私は、日頃からそこに不可欠だと思っているものは、やはり、強い信念だと考えています。

成功哲学という言葉があるのですが、その提唱者の一人にナポレオン・ヒルというアメリカ人がいます。

この人は、世界中、また多くの分野で成功を収めてきた人々の考え方を分析し、その結果として人生を成功に導くには、いわばルールのようなものがあると唱えました。

 その言葉を借りると「人生を決定するものは才能ではない。また、環境や条件でもない。人生を決定するものは、その人の情熱と信念だ」といっています。信念を持つことの大切さは、言われてみれば当然で、誰もが十二分にわかっていることですが、私たち人間は、そういった大事なことへの意識が日常の中で薄れてしまっているのも事実でないでしょうか。まさに、今のように話を聞いて、改めてその大切さを自覚し直す。私自身もそう反省をしている人間の一人です。

 私は、ナポレオン・ヒルのことばに、アメリカの思想家であるエマーソンの言葉を重ね合わせることがあります。エマーソンは、「人間とは、その人が毎日考えるそのものだ」という言葉を残しているんですが、別の訳だと「明けても暮れても考えていること、あるいは、四六時中考えていること、それがその人なのだ」というふうになります。つまり、共通するのは、「人生は自分自身の、本当に強い思いでこそ成り立っている」という理解になります。

 高校生である皆さんは、普段から自分のやりたいことに取り組んでいます。また、進路についても考え、悩むことも当然です。しかし、毎日、毎日、強い思いを持って、その上で行動しているかというとそうでもありません。目的に向かっていくには、自分の気持ちを、もっと下の方から支えてくれるものが必要なようです。それは、ナポレオン・ヒルが言うように情熱や信念に他なりません。「人生の目標をどう定める」か、この思いが強いものになればなるほど精神的な土台が築かれ、自分の生き方に対する信念にブレや強弱は無くなります。「何のための行動か」を自覚し、「自分はそれを必ずやり通す」という志を常に培っていく姿勢を持つことが、これまでとは違う展開を生み出すものと考えます。北海高校の建学の精神「百折不撓」の根底にあるものは、見かけだけではわからない、人間の根っこに当たる部分をどれだけ大きくして、これだけの生徒が集まる中で、互いを認め合い切磋琢磨していけるかどうかです。

 夏休みはまとまった時間が取れる絶好の機会ですから、そういった心の土台をつくることにもしっかりと向き合ってもらいたい。自分の中で少しでも変化を感じられる夏にしてもらいたいと願っています。

 最後に、夏休み中についてですが、ここ数年、夏の暑さが本当に厳しさを増してきています。以前から生徒会のアンケートでも要望がありました、一般教室へのエアコンの整備をしていくことになりました。また、来年度から学習指導要領が新しくなることから、学校の体制、カリキュラムが一新されることになります。詳細については改めて案内をいたします。

 みなさんにとって、有意義な夏休みになることを心から期待をして私からの話を終わります。

入学式 校長式辞

2021-04-09校長先生から

陽射しにやわらかな春の兆しが感じられる季節になりました。本日は、規模縮小とはいえ、このように令和3年度入学式を挙行できますことは、私たち教職員にとりまして大きな慶びであります。

まずは、北海生となった416名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。私たち教職員、そして皆さんの先輩となる2年生・3年生も皆さんの入学を心より歓迎しております。

昨年度、皆さんはコロナ禍にあって、多くの不安を抱えながらも、人生の大きな節目となる高校受験に挑み、その局面を乗り越えてこられました。逆境の中では、様々なことがらに対して自ら考える機会があったはずです。自分自身を見つめ直すきっかけになった人、あるいは、不自由さを感じる中、自分のことだけではなく、他者のために「何ができるか」「何をすべきか」を考え、自ら行動をとった人もいるかも知れません。きっかけはどうであれ、皆さんのそれらの経験や行動は、これから皆さんが人間的に成長していく上で、必ず財産になるものです。

今日からは北海生となって、この学び舎で新たな友と出会います。高校生活を通じて経験するもの全てが、皆さんにとって、価値ある人生の土台になってくれることを信じてやみません。

北海高校は、1885年(明治18年)に創立された北海英語学校を起源とし、創立以来、今日まで135年の歴史を刻んできました。既に4万1千人を超える卒業生は、本校の卒業生であることを誇りに、全国さまざまな方面で活躍をされています。

本校の前身である旧制北海中学校第二代校長の戸津高知先生は、生徒の個性と自学自習、自治的精神を尊重する教育者でした。当時、戸津先生は折に触れ、生徒に「北海生よ、タンポポであれ」と語っていたそうです。皆さんは、タンポポの花をどのようにみているでしょうか。タンポポは、特定の環境でしか咲けない花ではありません。自分が根付いた環境に適応し、時にはアスファルトの割れ目からでも芽を出します。葉や茎が刈り取られようとも時期を見て必ず再生し花を咲かせます。それはしっかりとした「根」を持っているからに他なりません。見た目が綺麗で、部屋で飾られるような花であっても、根が脆ければ環境の変化に対応できず、すぐに枯れてしまうでしょう。植物も人間も同じです。

学力、体力、そして心の力と書く心力などにおいて、本当の強さを手に入れるためには、見えないところで地道に努力をすることが必要となります。中でも素直さや他者の気持ちを理解できる誠実な内面性を磨くことは、それが人間的基礎力になるものと理解して、常々その自覚を持ち続けることが重要です。

北海高校の教育活動の「根」に当たるものを建学の精神といいますが、それは「質実剛健・百折不撓」です。ちょうど皆さんから見てステージ左側に掲げられている書がそうです。この意味は、「明朗・快活で己を飾らず、誠意を持って物事に当たり、どんな困難にあっても挫けない強い意志で自分を鍛える」というものです。どうか、皆さんの中にも、北海高校のDNAを持った「根」を強く育み、タンポポのように、それを深く伸ばして、逞しい青年になることを将来の目標にして下さい。そして、自分を活かすことのできるふさわしい場所に飛んで行き、自分らしい花を咲かせてもらいたいと願います。

皆さんは今、高校生活のスタート地点に立ちました。義務教育を終え高校に入学した今この時が、自分自身の人生を自らデザインしていく、自律した自分づくりのはじまりです。己を律するために、「学びの質の向上」は不可欠です。これまでとは違う意識を持ってもらうために、3つの言葉を紹介したいと思います。

それは、「知りません。教えて下さい。お願いします。」の3つです。これらの言葉は、フランス哲学研究者の内田樹氏の著書、「学ぶ力」という本の中で、人の成長に必要なものとして記されている箇所を要約した際、キーワードとなる言葉です。少し拡げて説明をすると、人の成長に必要なのは、まず、「自分が無知であるという自覚もっていること」、そして、「自分にとって何が先生になるのかを探り当てる力を備えること」、最後に「礼儀正しさ」だと内田氏は述べられています。

高校の勉強が中学校までの勉強と違うのは、端的にいうと、学ぼうと思った者にしか学力は得られないということです。勉強は作業ではありません。正解の無い世の中の課題に対峙する時、必要となる学力は、暗記による知識ではありません。また、誰かにさせられている感覚で勉強を続けても、学力を伸ばすことはできません。「なぜ、どうして」という学びの本質への渇望が何よりも重要です。すべては、自分が学ぶ必要性を自覚することです。しかし、それが難しいと感じるなら、まずは自分の先生を捜してみることです。先生とは、学校の先生はもちろんですが、クラスの友人であったり、学校生活を通じて見えてくる先輩の姿であったり、本の中にある言葉や日常のふとした場面にも存在します。そのようなものを見つけられる観察力、そして共感する力を備えようとする努力から始めるとよいでしょう。そして謙虚さを忘れないで下さい。勉学に限らず、本当に学ぼうと思ったときに、人は謙虚になります。謙虚になったとき、人は自然と礼儀正しくなるものです。「知りません。教えて下さい。お願いします。」生涯にわたり学習をしていく皆さんは、高校時代に限らず、一生学び続けることが必要ですから、その姿勢づくりのために、どうかこの言葉を胸に深く刻んで、これからの北海高校での生活を有意義なものにして欲しいと願っています。そのために、私たち教職員も精一杯、皆さんをサポートし、この三年間、皆さんと共に歩みたいという思いを新たにしています。

 結びとなりましたが、保護者の皆様にはお子様の教育を本校に託していただき、心よりお礼を申し上げます。ご期待にそえるよう教職員一同力を尽くしてまいります。今日から始まる北海高校での三年間が、新入生の皆さんにとって人生の確かな土台となることを心から願い、以上、式辞といたします。

令和3年4月9日 北海高等学校長   秋山 秀司

始業式 校長講話

2021-04-08校長先生から

今日から新年度が始まりました。皆さんも心新たに今日の日を迎えてくれていると思っています。コロナ対策には、昨年度以上に万全を期して、私たちの学びや思考が止まらないよう工夫を重ねて学校生活を送っていきましょう。学校は集団生活をする場ですから、まずは皆さん一人ひとりの理解と協力、そして大人の対応をお願いします。

さて、学校の特色について話をするようなとき、どこの学校にもある教育目標を基本に話をしますが、私立の場合、その教育目標の大前提にあるのが建学の精神です。本校では「質実剛健・百折不撓」ですね。北海高校は22年前、男女共学になることを機会に、新たに「北海高校の育てたい人間像」というものを設けました。4項目からなるものですが、皆さんは知っているでしょうか? 

それは、Be Independent! 独立心を持った生徒 Be Responsible! 信頼される生徒 Be Active! 「生きる力」を備えた生徒 Be Gentle! 多様性を認め合う生徒 この4つです。

20年の月日が経っていますが、今、正に目指していきたい目標値です。改めて皆さんにもこの存在を確認して貰いたいと思います。北海高校の年間スケジュールには、この目標を達成するための取り組みが網羅されています。三年間を通じて、授業はもちろん学校行事や部活動など、その一つひとつの取り組みが目標達成のためにどれも大切です。昨年はコロナの関係で、その多くが実現できませんでしたが、新しい生活スタイルを取り入れて、今年こそ、どれも可能にしたいと思っています。その際、皆さんには何か一つのことだけに力を注ぐという発想ではなく、すべてのことに全力でチャレンジして、特に諸活動と進路の実現には、少しでも高みを目指し、結果に繋げてもらいたいと強く願っています。

北海高校の特色を表現する時、古くから使われるフレーズに「文武両道」という言葉があります。本来なら学芸と武芸両方に優れていることをさす言葉ですが、実際には、その捉え方は色々です。最近の一般社会では、どちらかというと文が勉強、武が部活動として区別され、学校の特色を表す場合も、進学実績や部活動、特にスポーツの成果などを基に文武どちらかに力を入れている学校だと見られがちです。しかし、北海高校が自ら表現してきた文武両道は、初めから文武を分けていたかというと、私は決してそうではないと思っています。

以前、私が読んだ岩波文庫に、「翁問答」というものがあります。江戸前期の儒学者で、晩年には日本陽明学の祖といわれるようになった中江藤樹によるものです。この中に「文武両輪」という言葉が出てきます。この言葉が出てくる背景には当時の世相が関係します。江戸時代初期は、まだ戦国の世から抜け切れず武力優勢の不安定な時代でした。江戸幕府は、人心を和らげようと、いわば政策的に学問を奨励しました。ですが、「翁問答」の中には、「元来、文武は一徳にして、各別なるものにてはなく候」とあります。要するに、文武は同根一体、つまり、文の根は武であり、武の根は文であるということです。

学問による徳のある知識とその思考によって、物事を正しく捉えて問題を解決することは、結局は武力を行使することなく、多くの人の命を救い社会にも貢献したことになりました。当時の学問は儒学を指しますが、これに従えば、「文武はどちらか一方にのみ捉われてはいけない」。すなわち両立すべきものであるという考えになります。両立とは形だけのことを指すものではありません。成り立たせることですから、それぞれを高めあい、文武両方に最大限の結果を求めることになります。

「翁問答」の中には、心の学と書く「心学」についても触れられています。心学とは、人の内面、つまり心の道徳的可能性を信頼し、徳のある人をいわば先生とし、心を鍛えることで相応しい考え方、生き方が見いだせるというものです。これらから考えると、社会に役立つ人材になるためには、学芸と武芸を両立させようとする、その覚悟ができる強い心をまず持つべきだ、ということになるのではないかと思います。

創立期の北海にあった細かな教育理念と中江藤樹らの儒学による教えが共通しているという根拠は何もありませんが、「質実剛健・百折不撓」の建学の精神を大切にしてきた本校が、古くから部活動を奨励し続けてきたことは、人間づくりには、それが欠かすことのできないものという意義が理解されていたのだと思います。

北海高校の歴史を辿ると、一つのことにずば抜けて秀でた人材がいたこともよくわかりますが、一方で、北海の起源となっている北海英語学校は札幌農学校、つまり現在の北海道大学に進学するための学校でもありました。当時、数少ない高等教育機関に進学するには、当然、個性を伸ばしつつも勉学全般に人一倍の努力をしていたことが想像できます。それこそ文武は同根一体であることを具現化した卒業生が大勢いたのだろうと思います。今と変わらず、当時から多様な生徒が集まっていたこの学校では、いつの時代も生徒同士が励ましあい高めあってきました。今日は、部活動の話をしましたが、文武の武は、決して運動部だけをイメージするものではありません。文化部はもちろん、委員会活動を含む生徒会活動やボランティア精神を大切にすること、何かに属さなくとも、自分の考えで永く継続していることや趣味であっても、武として考えることができます。取り組むものこそ違っても、各々が様々な状況に身を置いて経験することが、自身の進路を切り拓いていくことに大きく役立ちます。皆さんにはそのことを信じ、「本来の文武両道」の意味を再確認して新学期を始めてもらいたいと思います。コロナに屈することなく有意義な一年にしましょう。新年度に当たり、教職員全員で皆さんの活躍に期待をしています。

令和2年度修了式 校長講話

2021-03-22校長先生から

ただいま、大会の報告、今年度の優等賞など各賞の発表があましたが、それは何かと苦しい一年の中で、皆さんが努力した証です。本当におめでとうございます。新型コロナウイルスに関しては、現在は変異種の拡大が懸念されています。先日の野球の応援でも皆さんに協力してもらいましたが、どんな場面においても、私たちは気を抜かずに、この先も予防の徹底に取り組んでいきましょう。

さて、今年度は2ヶ月遅れによる授業、学校行事・部活動なども行えず、秋には再休校となってしまいました。授業の遅れは、だいたい取り戻せましたが、年間で予定していた講習を例にすると、3年生を優先したこともあり、1、2年生については計画通りには進めませんでした。大変申し訳なく思っています。

ただ、3年生の進路については明るい話もあります。コロナ禍での3年生の気持ちを察すると、少しでも早く進路先を決めたいという思いがあったと思いますが、確実に合格できる保障のない推薦入試に中途半端に時間を遣わず、むしろ自分の高校生活にもっと大きな意味を持たせようと、気持ちを切り替えて、本当に目指したい目標に妥協せず、一般受験にチャレンジした生徒が多くいました。 

結果、国公立大学の合格者は、現在61名になっています。現役で55名を超えたのは久しぶりです。この他、早稲田、明治、立教、立命館、同志社など道外私大にも、多くの合格者が出ています。このように自分自身の考えに変化を持たせ、ピンチをチャンスに変えた先輩たちの成果は、皆さんにとっても大きな勇気になるものだと思っています。

今月1日は、本校の卒業式でしたが、そこで前生徒会長によって答辞が述べられました。コロナ禍を経験した北海高校での生活を振り返り、「繋がる」という言葉について話をされました。人とのつながり、社会とのつながり、命や記憶、伝統をつなぐなど、様々な観点で思いを語ってくれました。その内容には、北海に学んだ者として、それを土台にこれからどんな生き方をし、将来に渡り、母校北海とのつながりを大切にしたいというものでした。その力強い言葉に、私は精神的に自律している人間性の豊かさを感じました。

本来なら最高学年となった3年生が、高校生活のあらゆる場面で精一杯努力をする姿を、後輩たち、つまり皆さんが直接見ることで、自分もこうありたいと憧れのまなざしを向けられるものですが、そういった良い見本となる場面が、十分に伝わり切れない一年であったと思います。

あえて、私から卒業していった先輩たちのことを、ちょっとだけ表現するなら、優れていたと思うことは、まずは心の強さと優しさです。はじめから何でもできる器用さはなくとも、それを修正する力や互いを励まし高めあう力は素晴らしく、ものごとの善悪が判る大人の考え方ができる集団でした。今年の卒業生も人として質実剛健であり、行いとして百折不撓であったと思っています。

来年度は、いよいよ2年生諸君が集大成の学年となり、1年生が学校の中核を担う学年となります。ここで唐突かも知れませんが、皆さんは現時点で、自分は大人である。あるいは大人として振舞えているという自信はあるでしょうか。

当然、理解していることだと思いますが、来年4月から成人年齢が18歳に引き下げられます。保護者の同意なしにできることが増えますが、同時に自分の責任が社会的に厳しく問われるようになります。

今年1月、朝日新聞を読んでいると、大学進学をした学生が、家計への負担をかけまいと、SNSを利用する中で大金が手に入るという話に誘導され、その結果、大きな借金を作ってしまったという事例を目にしました。記事によると消費生活センターに寄せられる、この類の相談件数は年々増え、2万件近くにも上るとありました。そしてこれらの事例の半数近くが20代前半だということです。

こういったお金に関することばかりではなく、最近は情報化がより高度になって、ものごとを深く考えなくても便利な社会に生活することが可能になってきていることから、何も疑いを持たずに生活することは、常識から取り残され、様々なトラブルに巻き込まれていく可能性が高まります。既に皆さんのほとんどがスマートフォンを持っていますが、当然、メディアリテラシーにも精通しておくことが急務だと感じます。

改めて問いますが、皆さんは、まもなく大人になるという自覚はありますか。何をもって大人か。このことに自ら考えることは本当に重要です。

答えは一つではありませんが、端的にいうなら、まずは精神的に自分を律する自律が基礎となることを理解して下さい。自分勝手に考えない、相手を思いやる、自分と他者との違いを受け入れ、その違いを尊重する。そうすることができて、はじめて金銭的にも自立し、責任感を持って様々なことに挑戦することができるようになります。自分の歩む道を切り拓くためにも、どうか精神的自律が達成できているかどうかから見直をしてみてください。不足していることに気づけば速やかに改善していきましょう。そうすれば、先輩達のように、皆さんが掲げている希望も決して夢ではなく、必ず達成できるものになります。達成できるんだ。達成するんだ。という気概を持って新年度を迎える準備をすすめて下さい。すべては皆さんの意識からはじまります。

明日から春休みとなりますが、有意義な時間にできることに期待をして私からの話を終わります。

卒業式 式辞

2021-03-01校長先生から

日差しに春の気配を感じる季節となりました。

皆さんは、約一か月ぶりの登校ですが、この間、多くの生徒が受験に挑みました。まずは人生にとって大きなハードルを乗り越えようとしてきた、その努力に敬意を表します。

今年度の三年生は、最終的には見送られたものの、いわゆる大学入試改革の初年度で、また、北海学園併設校推薦試験制度の変更もあって、例年以上に緊張感を持って学習活動に向かってきた学年でした。今年度になってからは、新型コロナウイルス感染予防のため、新しい生活スタイルを踏まえながら、自分自身で時間をマネジメントしなければならない状況が長く続いてきましたが、それは結果として、皆さん自身が「自ら学ぶ」ということに対し、正面から向き合えるきっかけになっていたものではないかと考えます。

皆さんは「自ら学ぶ」ことの本当の価値を知り、自分にとって必要なものを優先的に考え、北海生らしく、ひたむきに目標に向かってこられました。そんな皆さんの実力は、皆さんが思っている以上のものです。ここまでの自分に、もっと自信を持ってもらっても結構だと思います。

さて、ただいま卒業証書を授与した第73期生521名の皆さん、改めて卒業おめでとう。私たち教職員もこの上ない慶びでこの時を迎えています。

卒業生の皆さん、今日の日を迎えるに当たり、北海高校での生活の様々な思い出が蘇ってきているのではないかと思います。私自身も二年前まで、一担任として直接かかわりを持たせてもらった経験から、先日、そのころに撮った写真を見返しました。今年度、コロナ禍で様々な困難と向かい合ってきた一年間とは違い、北海祭や体育祭、支笏湖遠足、弁論大会など北海高校ならではの学校行事におもいっきり取り組み、心から溢れる笑顔をそこに観ることができました。当時の皆さんは、まだまだ上級生の力には及びませんでしたが、明朗快活で、互いの個性を認め合える学年として主体的に行動し、一年次から職業観や学問観の向上と進路の探究にコツコツと取り組んでいたことが、とても印象深いです。二年生の終わりに、この体育館で行われた修学旅行後の沖縄に関する事後研究発表会も、バリエーションが多く、レベルの高いプレゼンテーションをしていたことなどが蘇り、改めて皆さんの成長を感じました。

北海高校には、毎年、実に多様な生徒が集まります。

皆さんはその出会いによって自分自身というものを理解し、日常生活にとどまらず、部活動にも積極的に取り組み、多くの経験を通じて、新たな発見と思考を繰り返してこられました。その経験は、これからの時代を生き抜く力として蓄えられてきたものであり、必ず今後、皆さんが社会で逞しく生きていくための土台になってくれるものと、私たち教職員は強く信じています。

北海高校は、有為なる人材育成を目的に、1885年(明治18年)に開かれた学校です。いかなる苦境をもこれを排除して、何事にも屈することなく前進する「百折不撓」「質実剛健」の建学の精神を大切に、基礎学力の修得と、時代にあった主体性・柔軟性を兼ね備えた若者を育成することに全力を傾けてきました。すなわち皆さんは、ここにいる多様な教師と友人との出会いの中で、心身ともに鍛えられ、互いに励まし合いながら切磋琢磨するという伝統を身につけてきたことに他なりません。

卒業を一般的な英語では“graduation”と言いますが、もう一つ卒業を意味するものに“commencement”があります。これには「始まり」という意味もあり、「学業には終わりはない」ということをよく表している言葉であると感じます。つまり、卒業とは「終わり」ではなく「始まり」です。では何の始まりかというと、私は皆さんに「生涯教育」の始まりであると捉えてもらいたい。皆さんには、北海高校で過ごした実感を大切に、これからは専門性や教養を身に付け、その知性を基に「自分の課題」に対して、納得できる解決方法を見出せるよう、「生涯、自分で自分を教育し続けていく」その覚悟をもって欲しいと願います。

今、世の中を見ると、世界中が混沌としています。自然災害、様々な格差の広がり、そして新型コロナウイルスに関しても医療体制への懸念、経済の先行きなど多くの課題が交錯し、各々の正義が飛び交っています。変化が激しく複雑で、より多様化している状況は、今までとは比べものにならないスピードで進み、もはや前例主義では立ち行きません。正直、「正解はない」といってもよいでしょう。これらの答えを見出すことは簡単ではありませんが、考え方は、シンプルでよいのだと思います。

一つは「学び続けるという意欲を絶やさないこと」。そしてもう一つは、「自分の信念に従う」ということではないかと思うのです。

信念とは、自分の中で何度も繰り返されているうちに、自分の一部となった思考のことでもあります。信念を持つ人は、自分に対して厳しい姿勢を保ち、自分の信念に従うことは、誰に対しても「正しいことをする」ということに他なりません。己を飾ることなく誠実で、他者のことを思いやる気持ちを持ち続けられることが一番です。

最後に言葉を一つ紹介します。

「かっこ悪くたっていいのだ、かっこ悪さを恐れてはいけない 恥ずかしがってはいけない、どんなかっこうでも真剣に生きる姿は美しい。」

この言葉は、黒澤明監督作品の常連俳優として活躍した千秋実さんの言葉です。千秋さんは、北海中学の卒業で、当時は陸上部に所属し、第二の南部忠平と有望視された大先輩です。怪我が原因で陸上は続けられなくなりましたが、「映画」と出会いました。戦後の芸術、文化の解放に伴い、「大衆に共感を呼び、社会に訴える」作品づくりに情熱を傾け、後にハリウッド映画にも影響を与えたと言われています。

この言葉には、千秋さん自身の信念とそれを貫こうとした生きざまが現われていると思います。そしてそれは、北海に学び、「質実剛健」の精神がバックボーンになっていることも強く感じます。

実は、今年度、北海高校陸上競技部は創部百周年という年を迎えていました。この節目に、もし千秋さんが、卒業する皆さんへ、「生き方のヒントになるメッセージ」を贈ってくれるのだとしたら、という思いでこの言葉を紹介しました。

ぜひ、皆さんにも本校で学んだことを誇りとして、内面を充実させた人格者になってもらいたいと心から思います。

結びとなりましたが、保護者の皆様に一言申し上げます。保護者の皆様、改めてお子様のご卒業おめでとうございます。お子様の成長を願って支えていただいた皆様には、さぞかしご苦労も多かったと存じます。また、コロナ禍における教育活動では、多くのご迷惑、ご心配をおかけしてしまいました。にもかかわらず、この三年間、北海高校の教育活動にご理解とご協力を賜りましたことに心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

卒業生の皆さん、そしてご家族の皆様のご健康と益々のご発展を祈念して、以上式辞といたします。

令和3年3月1日     北海高等学校長 秋山秀司

校長講話

2021-01-12校長先生から

皆さん、おはようございます。新しい一年、皆さんもきっと大きな夢や希望を持って新年をスタートされたことと思っています。未だ拡大が続くコロナ禍に私たちも不安がありますが、年初めに計画したことは、強い決意として、その実現にはどんなことがあっても最後までやり抜く、その努力をして欲しいと心から願っています。それは北海高校の建学の精神「質実剛健・百折不撓」の具現化に他なりません。

今日はまず、コロナウイルスに関する話からです。ウイルスに感染した人の中には無症状のケースが大変多いことがこれまでの中で解っています。学校のように集団生活をする環境で大切なことは、感染しないための予防を確実にすることは当然として、知らない間に誰かに感染させてしまう可能性があるということを、しっかり理解しておくことが大切です。雑な考え、大人げない行動は、また感染を拡大させる原因となります。これからの時期、一層寒さが厳しくなりますが、こまめな換気、食事の際のルールなどは徹底して取り組んで下さい。そして、正しい生活習慣で健康を維持し、心身ともに強い体づくりをして欲しいと思います。

さて、今回の年末年始も例年のようにスポーツの話題が盛りだくさんでした。どの競技も感染予防対策をして、サッカーやラグビー、駅伝など、この時期の風物詩となるものが開催されました。中でも私が毎年ついつい見入ってしまうのが箱根駅伝です。

駅伝のルーツは、古くからあった飛脚制度や、全国の交通基盤が整備された江戸時代に、五街道の一つである東海道において、馬をつかって荷物などを輸送した伝馬制にあると言われています。初の駅伝競技は、1917(大正6)年で、京都の三条大橋から東京上野の不忍池までの約508km、23区間もあり、昼夜を問わず3日間走り続けるものでした。今でこそ世界的な競技となりましたが、だいたい同じくらいの距離を分担して走るルールは、一人一人の個の力よりチーム力が最も必要となる点において、いかにも日本発祥のスポーツだと思います。

現在の箱根駅伝は、東京有楽町の読売新聞社前から芦ノ湖までの往復217.9㎞を10人のランナーで、一本のタスキに夢を託して走破するものとなり、今年で97回目になりました。今回の優勝候補は、連覇を狙う青山学院大学をはじめ複数の有力校が名を連ねていましたが、初日、往路で優勝したのは創価大学でした。長い歴史の中でわずか4回しか出場歴のない大学の優勝に、実績は無くてもこの勢いがあれば総合優勝もできるだろうと私は思っていました。翌日も創価大学の優位は変わらず、最終10区のアンカーにタスキが渡った時には、2位の駒澤大学との差は3分19秒もありました。もう逃げ切るだろうと確信した私はそこでテレビの電源を切り、夕方のニュースで駒澤大学の大逆転劇があったことを知り本当にびっくりしました。私は一番いいところを見逃した悔しさと同時に、いろいろな疑問が瞬間的に沸きました。

駒澤大学は、優勝経験もある55年連続出場の常連校です。やはり勝ち方を知っているチームと経験の浅いチームとの差が土壇場ででたんだろうか、しかしながら、あのタイム差をひっくり返したアンカーの精神力の強さはすごいな、また、選手を諦めさせないチーム力は、普段からどうやって磨かれているんだろう、そんなことを考えさせられました。そして、改めて箱根駅伝の魅力や、スポーツそのものが、観るものに感動を与える力を持っていることのすごさを感じることができました。

箱根駅伝のルールは、実は大変過酷なものです。往路・復路のすべての中継点で、先頭から20分遅れのチームは、無念にも繰り上げスタートを強制され、それ以上タスキをつなぐことができません。また、来年の箱根駅伝へのシード権は総合10位までとされ、11位以下の学校は、また一からの熾烈な闘いが待っています。タスキは、一度の大会だけのためのバトンではなく、チームと歴史をつなぐものであり、学校の名誉と誇り、そして選手一人ひとりの血と汗と涙が染み込んでいるものです。

長い距離をひたむきに走る駅伝は、人生そのものの縮図とも言われています。平坦な道ばかりではありません。箱根の山では雨風にさらされ、時には雪にも苛まれることもあります。そうした苦難を克服するためには、日頃からのたゆまぬ努力と教訓が必要です。今回の箱根駅伝でも、各チーム、選手ひとり一人の、私たちが知り得ることのできない経験が積み重なって、最後の最後に感動的なドラマが目に見えるものになったのではないかと思っています。

皆さんに知っておいて欲しいことは、こういったメイクドラマはスポーツに限るものではないことです。それは皆さんが普段から一生懸命に取り組んでいるもの全てに共通するものだと私は思っています。どんな思いで練習や学習に取り組んでいるか、努力と教訓のプロセスがあるからこそドラマとなり、その感動を共有することができます。

実は皆さんも、各々のタスキを背負っています。一年には幾つかの区切りとなるものがありますが、ゴールを見据えて、節目節目に自分のタスキをどうつなげていくのかをイメージし、そうなれるように努力して欲しいと思います。北海生ひとり一人の目標に向かう努力は、北海高校の歴史と伝統のタスキもまたつなげていくことに他なりません。ぜひ自分の可能性にチャレンジし続ける一年をスタートさせて下さい。

校長講話

2020-12-24校長先生から

みなさんおはようございます。
まずは、ただいま表彰されたクラブ、選手の皆さん、本当におめでとうございます。コロナ禍にあって限られた時間と環境下にも関わらず、素晴らしい成績を残されたことに、心からその栄誉を称えます。
さて、改めて令和2年を振り返ってみますが、何といっても新型コロナウイルスに振り回され、あっという間にこの年末を迎えた。そんな感覚でいます。
今月一日、今年の「新語、流行語大賞」が発表されましたが、選ばれたのは「三密」でした。まもなくして、今年一年の世相を現す漢字一文字も発表されましたが、やはりこちらも「密」という文字でした。
「密」という字は、「ひそか」という意味の他に、きめ細かい状況を現したり、深く親しい人間関係を表現したり、場合によっては、物事を成熟させている状態などの意味を持つ文字です。ですが、新型コロナウイルス感染予防の観点からいって、正しく実践されなければならないのは、意識的に「密を避ける」という行動です。
密を避けるための人と人との距離感は、物理的にはそう難しいものではありませんが、心理的な距離感として捉える場合には、注意が必要だろうと私は思っています。私は、今おかれている感染状況の中だと、マスクをしているだけで、自分でも口数が減ったような感覚があるんですが、気持ちを素直に外に出せないような生活が長く続くと、ストレスを感じたりもするでしょうし、それがもとで、いつの間にか信頼感が薄れたりして、人と人のつながりが断ち切れてしまうんじゃないかと思うことがあります。また、無意識のうちに、そんな環境に慣れてしまうことで、ものごとに対し、多様な見方、考え方が出来なくなったり、極端には白・黒はっきりさせるような判断しかできなくなってしまう。これは、従来からいわれている格差社会の特性を助長するものになったり、社会的分断といわれているものに極めて類似するものに繋がっていくのではないかという不安を感じます。そう考えると、むしろ「密」であることこそ人間にとってとても大切なものであろうと考えさせられます。みなさんは、どう考えるでしょうか?
確認ですが、皆さんは、あくまで感染予防としての距離感は正しく取ることができているでしょうか?
逆に周りとの一体感はしっかりと感じられていますか?
こういう時だからこそ、互いを支えあい、励ましあえる雰囲気がとても大切だと思います。これらはすべて意識の問題です。生徒同士、また先生と生徒、家庭や身近な地域での連帯感を生むためには、常に健康的な精神状態を保てるよう工夫も必要です。
例えば、挨拶でもいい。こういう時だからといって挨拶を控えようとするのではなく、むしろいつも以上に、できるだけ多くの人と、必ず目を合わせて、感謝や敬意の気持ちを持って会釈をする。コミュニケーションをとることの基本は、必ずしも「ことば」でないということをしっかりと理解しておきましょう。いかに気持ちを込められるかが重要です。キャッチボールを成立させるには、どんなボールであっても、ことばや意識であっても同じです。取りやすい球を受け取りやすいところにちゃんと返すことができてそれを続けることができる。それが基本です。こういったきめ細やかさ、心が通い合う状態を北海生全体で創り出すことができると、学校も一つレベルアップできるのではないかと思います。
さて、明日から冬休みです。冬休みが明けると、3年生諸君はいよいよ一般受験に臨むことになります。受験への切り替えが何かと大変だった一年でしたが、それぞれが取り組んできたことに、まずは自信を持って下さい。大学入学共通テストになって初めての入試になりますが、決して臆することなく、準備してきたものを出し切ることへの努力が、最も難しいことでありますが、最も大切なことでもあります。受験が終わるまでは、時間を余すことなく最後の最後まで精一杯取り組んで、納得のいく受験になることを心から祈念しています。既に進路を決めた3年生は、心からエールを送って下さい。
また、1、2年生諸君は、次年度に向けた選択科目が確定した時期だと思います。2年生は、年明けに第一志望届の提出もあるはずです。次年度への準備、受験への準備というと春休みをイメージしやすいですが、実は、この冬休みから3月末までの期間をどう過ごすか、考え方、取り組み方が大変重要になります。2年生のこの時期から数えると、受験まで約400日間。これだけの日数があると、現在の成績にとらわれることなく、第一志望校を突破する可能性は極めて高いという客観的なデータもあります。そのことを信じ、覚悟を持ってやるかやらないかは、一人ひとりの決断にかかってきますが、私は、皆さんには、個々の目標を大切にしながらも、心を一つにして互いを励ましあい、勉強も諸活動も、その取り組み方の意識は同じベクトルで進んでいって欲しいと心から願っています。
休み中には年も改まります。どうぞ新しい一年の始まりに、次の年をどんな年にするか強い決意を述べられるよう、しっかり心を整理して、よい年を迎えて下さい。年明け、また元気に会いましょう。以上で私からの話を終わります。

校長講話

2020-10-09校長先生から

今日は前期終業式ということですので、まずは、ここまでの生活を振り返ってみようと思います。いま各部の大会報告がありました。既に多くの部で代替わりをし、この時期には主に新人戦、更には文化部の活動実績も見られるようになっています。部活動の特性もあって全てが同じ動きをしている訳ではありませんが、北海生は、共通して精一杯ものごとに取り組むことができた。私はそう思っています。結果はさておき、多くの課題に向き合ったというそのことに賛辞を送ります。
今年度、ここまで実施できた学校行事は、新入生だけで実施した入学式と先日行われた体育祭だけでした。臨時休校中の授業の遅れについては、既に取り戻すことができましたが、全てにおいて、生徒の皆さん、保護者や教職員の理解と協力があってのことと感謝しています。
コロナ禍にあって、今後も制約が続くと思いますが、私たちの工夫と強い結束力で、この先起こり得ることも、必ず乗り越えていけると感じています。
後期になると、2年生は修学旅行があり、3年生は、いよいよ受験本番を迎えます。いずれも個々の生徒がバラバラの気持ちで臨むのではなく、互いを励ましあいながら、切磋琢磨する気持ちを大切にしてもらいたいと願っています。
秋を迎え、最近は随分と寒暖差も激しくなってきました。季節の変わり目は体調を崩しやすいので、これからの時期は、今まで以上に自分の健康管理に注意を払ってください。現状において、感染リスクがゼロになるということはありませんが、安定した生活習慣を保ち免疫力を落とさないこと、そして感染予防の基本となっている換気と手洗い・うがいを引き続き徹底していきましょう。感染しない、させない意識を保つようお願いします。
次に、2か月程前に実施された「学校生活アンケート」に関わる話をしたいと思います。このアンケートは、生徒と教職員が、各授業への取り組み方を互いに確認しあい、今後の改善に役立てること、そして教育環境をより良くしていくための大切な情報を得ることを目的に実施しています。皆さんから出された要望や意見については、真摯に受け止め、特に学校内の環境整備については、できるところから改善に努力していきます。
今年のアンケートには、例年と違い、コロナ禍における学習や進路に対する不安、学校行事がなくなったことに心が満たされていない様子が反映されていました。
   (中略)
北海高校に学ぶ皆さんには、「一人ひとりが希望する進路をしっかりと実現させられる学校でありたい」と常に思っていますが、これを実現するには、皆さんの主体的な取り組みがないとはじまりません。皆さんが進もうとする道を切り拓くためには、毎日の授業と予習、復習の地道な積み重ねと人間力を磨く努力が大前提となります。先生方は、あくまでも皆さんのサポート役にしかなれません。ですから、皆さん自身の時間の使い方が一番の課題になります。
皆さんは、ベンジャミン・フランクリンという人物を知っているでしょうか。アメリカ合衆国建国の父と讃えられ、100ドル紙幣の肖像画になっている人です。
フランクリンは、政治家以外に、学者としても活躍した人物です。彼は高い生産性を発揮するために、自らの生活に規範を設けていました。それは、日常生活全てにおいて、計13項目のキーワードを挙げて、毎日点検をしていました。今日は、その中の3つを紹介したいと思います。
1つ目は「規律」です。フランクリンは、物の置き場所、仕事に関しては、始める時間、終わる時間をすべて決め、その通りに行動しました。2つ目は「決断」。やると決めたことは、必ず実行するということです。3つ目は「勤勉」。とにかく徹底して時間を無駄にしないということです。私は、規律・決断・勤勉、この3つは、13項目ある中でも、フランクリンが最も基礎的なものにしていたのではないかと思っています。
フランクリンは、毎日この13項目を意識するよう、スケジュール帳のようなものを使って確認していたといいます。また、1年を4回に分け、その節目を大切にして改善も図りました。皆さんも今の話から、身に覚えのあるものを想像できるのではないでしょうか?
それは、スチューデントプランナーのことですが、ここで、改めて皆さんのアンケートの回答から推測すると、まずプランナーの必要性に対する意識から見直しをしなければならない人も一定数いるのだろうと考えています。
   (中略)
フランクリンがやっていたことは、実は単純で、毎日同じ時間に同じことを淡々と繰り返していたのだと思います。朝は「今日、どんな模範的な行いをしようか」、そして寝る前には「今日はどの項目で実践できたか」を自問自答する毎日だったのではなかったのかと想像します。
私たちが充実した生活を送るには、規則正しいリズムが必要なのは間違いのないことです。
明日から後期になる訳ですが、皆さんには、自分の進路目標、学習目標を今一度明確にして、時間の使い方を意識したメリハリのある生活を送ってもらいたいと思います。
最後に、改めて私たち教職員は、保護者とも力を合わせて、皆さんを全力で応援しつづけます。自分のため、そして周囲から支援してくれる人に応えるためにも、ぜひ「規律」「決意」「勤勉」この3つを生活の中に取り込み、今よりも自分自身に厳しい立場となって、学びに対する質の向上をめざしてください。

夏休み明け 校長先生のお話

2020-08-17校長先生から

短い夏休みも終わり、今日からまた授業再開です。今朝、元気に登校してくる皆さんの姿、その表情を見て、私も皆さんとの再会を嬉しく思っています。
ですが、新型コロナウイルス感染症については、従来にも増して、予防への自覚を強く持たなければならない状況です。皆さんもニュースなどで知っていると思いますが、最近はとくに若い人たち、学校に関係する人たちの間でも感染が拡がっています。また、まだまだ暑さが続く中、熱中症への注意も必要です。手洗い、うがいに加え、こまめに水分を補給するなど、授業中とはいえ無理をせず、かつ慎重な行動をお願いしたいと思います。
さて、休み前の集会で、私は皆さんに「正しい時間の使い方」について話をしましたが、有意義な夏休みとなったでしょうか。今日もまた、時間に関する話をしたいと思います。
幕末の志士の一人である吉田松陰の言葉の中に「ごくにありては、ごくでできることをする」というものがあります。ごくとは、獄中、いまの刑務所のことです。1853年、アメリカの黒船が下田に来校した時、松陰は、当時の鎖国の禁を破り、密航を図ろうとして失敗し、捕らえられて山口県の萩に投獄されました。その時のことばと言われています。そもそも松陰が鎖国の禁を破った理由は、日本が今後、世界の中で発展していくためには、外国の状況を知っておかなければならないという、将来に向けた野心からくる行動でした。松陰は、投獄中であっても、限りある時間を一時も無為に過ごしてはならないと、自らが学ぶとともに他の囚人やまたその監視の役人にまで、中国の古典である「論語」「孟子」を講義したとされています。そしてその影響を受けた人たちが、後の日本を作っていくことになります。
松陰の発した一つ一つの言葉には、彼の思想的信条がよく表れています。「自分の命をどう生かすか」 「何のために生きるのか」時代を超えて、人生を豊かにするための教訓がたくさんありますが、先ほどの言葉には、万人に等しく与えられている時間をもっと有効に使うべきだという教えが含まれています。時間は有効に活用すれば精神的にも、物質的にもその人の人生に大きくプラスになります。しかし、時間を自分のものとして活用するには、それなりの意思と努力が必要です。人はとかく難を避け、安きに流れやすいものです。困難なことに何かの理由をつけて一時的に回避したいという心理が働きますが、いつかその代償は必ず払うことになります。
「日本書紀」に引用されていることで知られる中国の書物「淮南子」の中に、「学ぶに暇あらずと謂う者は暇ありと雖も亦学ぶ能わず」という言葉があります。勉強する時間がないという人は、時間があっても勉強しないという意味ですが、皆さんの実態はどうでしょうか。過去のことはそれを認めざるを得ませんが、大切なのは今後のことです。
改めて今日、皆さんに伝えたいのは、時間とは貴重な財産であるということです。財産を持ち腐れにさせないためにも、やるべきことに順位をつけ、自分自身に誠意をもって確実にものごとをやり切る。その精神を磨いて、それを実践して欲しいと願っています。
前期末までは約50日、次の一区切りまで精一杯の努力をして下さい。心から期待をしています。

夏休み前 校長先生のお話

2020-08-05校長先生から

6月から学校を再開して2か月が経ちました。この間、皆さんには気持ちを切り替えて、感染予防に徹しながら学習と部活動に取り組んでもらいました。
今、表彰の報告がありましたが、それは結果だけではなく、ここまで乗り越えてきたすべての人、その経験に対して、改めて皆さんの健闘を称えます。
また、先週行われた定期試験に対しても、放課後、学年を問わず自習に励む多くの生徒を見ましたが、その姿から真剣さが伝わってきました。各方面に渡り、本当によく努力してくれたと評価しています。
ところで、現在のコロナ関連の話になりますが、皆さんも知っている通り、再び全国的な感染拡大に最大限の注意が必要な状況となっています。この状況下では、私たちの身近なところで感染者が出たとしても何ら不思議ではありません。
まず私たちがするべきことは、感染予防の基礎になっている手洗い、マスクの着用、換気など、学校だけではなく全ての場所で、本当に正しく行われているかを点検し、引き続き感染しない、させないの意識を常に持って、周囲の人に対しても、やさしさと思いやりのある言動をとっていくべきです。
そこに誹謗中傷、差別や偏見を持つことは、単に傷つけあうことであって、何も意味をなしません。高い人間性を備えようとしている北海生の皆さんなら、当然判断できることだと思いますが、改めて深い理解をして欲しいと思います。
コロナ禍のいま、全国の受験生や大勢の高校生が、不安や迷いの中にあると考えられます。進路選択という具体的なことがらに関わっては、掲げていた目標を下げてしまう傾向もあるようです。いろいろな理由はあろうかと思いますが、進路選択は、自分の生き方に直接関わるものですから、気持ちだけに左右されるのは禁物です。どんな状況でもやる、やれるという強い決意を持つことで結果はついて来ます。ひたむきに努力することが、北海生のモットーですし、その努力が、必ず自分の財産になることを信じて、今は邁進するべきです。
3年生諸君には、ぜひ学年をあげて互いを励ましあい、今こそ北海生が誇りとしている百折不撓の精神で、個々の道を切り拓いていってもらいたい。そう心から願っています。
さて、今年の夏休みは本当に短いものになりました。わずか11日間です。この期間をどう過ごすかは、学年を問わず大変重要なものになるでしょう。ある程度決まったものを確実にこなす日々になると思いますが、私が皆さんに一つだけ求めるならば、それは「正しい時間の使い方」の実践です。
明日からの生活が有意義なものになるかどうか、どうしたらよりよいものにできるかを、自分の力でもう一度よく点検してみて下さい。夏休みは、次の学校生活を順調にスタートさせるための準備でもありますが、この期間に取り組んだものが、秋以降に一定の成果として実感できるものにするためには、工夫が必要です。例えば、反躬自問(はんきゅう じもん)という言葉の実践をしてみる。
「反躬」は自分のことを思い返すという意味で、それを自問するとは、自分の行いを振り返って、自身に問いただすという意味です。具体例としては、一日の終わりに今日という日を必ず振り返り、確実に次の日に活かすということです。このような地道な行いに真摯に取り組むことこそ、自らの学力を高めていくものだと感じます。
管理能力を持つことは、大人として常識的なものですが、それは一人の場合だと、簡単とはいえません。誰も見ていないところで、自分にどれだけ厳しくなれるかが求められます。小さくとも達成感を得られる取り組みになるよう、皆さんには創造力と計画性をもって臨んでもらいたいと思っています。
最後になりますが、8月は平和について考える月です。今年は、戦後75年という節目の年でもあります。また、明日は広島に原爆が投下された日です。これらに関する追悼行事は、今年も全国で予定されていますが、感染防止の観点から例年の1割程度まで縮小されるそうです。75年という月日が経ったいま、戦争体験の話を聴く機会は、本当に難しくなっていますが、今後ますます、戦争の本当の悲惨さがどんなものか、イメージだけのものになってしまわないかと懸念しています。
北海高校は、長く修学旅行先を沖縄としてきましたが、その主たる目的はもちろん平和学習です。太平洋戦争末期の沖縄戦による戦没者の多くは一般の人々でした。皆さんと同年代の学生も男女関係なく戦争に駆り出され、沖縄県民の4人に1人が犠牲になりました。そして、これに次いで犠牲者が多かったのが北海道出身者です。そうした過去の上に今私たちが暮らしているということを再認識し、戦争やその真実を自ら知ろう、学ぼうという意識を持って欲しい。そして心から平和を望む気持ちと命の尊さについて、より深い理解をしてもらいたいと思います。以上で話を終わりますが、改めて、明日からの夏休みを有意義に過ごし、また元気にあいましょう。

開校記念日(創立135周年)に寄せて

2020-05-16校長先生から

校長 式辞

2020-04-09校長先生から

 陽射しにやわらかな春の兆しが感じられる季節になりました。ご存じのように、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために、本校は、国や北海道が示しているガイドラインに沿って、様々な配慮のもとで学校を再開しております。そのような中、本日、規模縮小とはいえ、このように北海高等学校の令和2年度入学式を挙行できますことは、私たち教職員にとりまして大きな慶びであります。
まずは、狭き門をくぐり北海生となった365名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。私たち教職員はもちろん、皆さんの先輩となる2年生・3年生も、皆さんの入学を心より歓迎しております。この学び舎で新しい友と出会う。そして高校生活を通じて経験するものは、皆さんのこれからの人生にとって大きな価値になることを確信しています。多様性を認め合う時代、これからの出会いに本気で向き合うことによって、何物にも代え難いものを、皆さん自身の中に体得できることを大いに期待しています。
 北海高校は、1885年(明治18年)に創立された北海英語学校を起源とし、創立以来、今日まで135年の歴史を刻んできました。4万人を超える卒業生は、北海高校の卒業生であることを誇りに、さまざまな方面で、社会の優等生として活躍されています。本校は名実ともに北海道を代表する私立高校であり、その名は全国でも知られています。
 新入生の皆さんは、このような北海高校の歴史に新たな青春の1ページを加えることとなります。皆さんが、この北海高校を青春の舞台として、自からを磨き、輝かせ、互いに励まし合い、助け合いながら、自律した若者として成長することを心から願っております。
 さて、皆さんは今、高校生活のスタート地点に立っています。皆さんそれぞれにこれから始まる高校生活に夢や希望を抱いていることでしょう。不安もあるかもしれませんが、何よりも大切なことは、義務教育を終え高校に入学した今この時が、自分自身の人生を自らデザインしていく、自律した自分づくりのはじまりに他ならないのだという自覚を持つことです。
 新入生のみなさんが、北海生としてスタートするにあたり、三点お話ししたいと思います。
まず一つ目は、「自分の持つ才能」を発見し活かしていくということです。私たちは、自分でも気づかない才能をたくさん持っていることを知らずに過ごしてしまうことが多くあります。まだ知らない自分を発見するためには、積極的に自分と向き合うことと新たなものにチャレンジする勇気がとても必要です。北海高校には古くから、生徒が主体となって行動していける自治の精神と、お互いの個性と努力を認めあい、深い絆を創っていくことのできる人間教育の基盤とその環境があります。学習活動はもちろんですが、生徒会活動や部活動などを通じてそれらを発見し、ぜひ自分の成長に活かしてもらいたいと思っています。
二つ目は、本校の建学の精神をよく理解し、自らの目標の実現に向けて邁進することです。人は正しく目標を定めることができれば、その達成に向かって地道な努力を重ねることができますが、自分への理解が不足していたり、時に自分への甘えから妥協することを覚え、成功よりも失敗の体験を多く重ねていってしまうことで、やがて自信を失い、自分の可能性を自分で否定してしまうようなこともあり得ます。そういう意味で、私たち人間は、実に弱い者であるということを自覚しておかねばなりません。ですが、これまで北海高校に学んだ多くの先輩達は、本校の建学の精神である「質実剛健・百折不撓」を自らの中に取り込み、互いを励ましあって、夢を夢で終わらせずそれぞれに自己目標を実現させていった人たちが数多くいます。
「質実剛健」とはうわべを飾ることなく誠実であり、心身ともに強くたくましいという意味です。「質実」であることは、信頼される人間であるための基礎であり、「剛健」であることは自分らしく生きるために不可欠なことです。また「百折不撓」は何度失敗しても挫折してもくじけないという意味です。北海生の誇りは失敗しないことや挫折しないことではなく、失敗しても挫折しても、決してそれにくじけないことにあります。皆さんも、何のために学ぶのか、何のために進学するのか、自分らしい生き方とは何か、社会の中で自分をどう活かすべきか、などについてじっくりと考え、正しい目標設定を強い信念にかえて進んでいって欲しいと思います。
三つ目は、「良い習慣」を身につけるということです。基本的生活習慣が守れることは「自己管理能力」が備わっているということになります。一見簡単そうなことですが、それを継続できることは十分評価に値します。また、毎日の家庭学習、礼儀やマナー、読書の習慣はとても重要です。将来、進学して自分の好きなことに対して学びを深めるためにも、グローバルな社会で仕事をしていくためにも、その基礎になるものとして、必ず備えていかなければならないものが、これらの習慣化の中で身に付きます。勉強をする上で、難しいと感じることがあっても、必ず継続は力になります。挨拶は好ましい人間関係を作り出すきっかけにもなりますし、良い本との出合いは、他者の考えを知るだけではなく、己を客観的に見ることができたり、目標を明確にさせて、そこに近づくための原動力にもなります。皆さんには、これからの時代に相応しいコミュニケーション力と幅広い教養を「生きる力」として修得し、自らの人生を豊かにしてもらいたいと思います。
 北海高校での三年間には、自分づくりのきっかけとなるもの、糧となるものが数多くあります。ぜひ積極的な姿勢で高校生活に臨み、確かな自分といえるものを創り上げてください。そのために、私たち教職員も精一杯、皆さんをサポートし、この三年間、皆さんと共に歩みたいと思いを新たにしております。
 結びとなりましたが、保護者の皆様にはお子様の教育を本校に託していただき、心よりお礼を申し上げます。ご期待にそえるよう教職員一同力を尽くして日々の教育に取り組んでまいります。今日から始まる北海高校での三年間の生活が、新入生の皆さんにとって人生の確かな土台となることを心から願い、以上、式辞といたします。

令和2年4月9日 北海高等学校長   秋山 秀司

校長講話

2020-04-08校長先生から

みなさんおはようございます。新年度なので、全てにおいてリフレッシュした気持ちで今日の始業式を迎えたかったのですが、新型コロナウイルスに関しては、依然として終息の目途が立たない状況にあり、私たちはまだまだウイルスの脅威と様々な不安を感じています。しかしこの間、このウイルスの特徴や、感染予防方法など、完全ではありませんが少しずつ判ってきていることもあります。この先も社会情勢には十分な注視が必要ですが、私たち一人ひとりが、このウイルスに対する正しい知識と常識ある行動を責任持って果たすことにより、日常を取り戻していきたい考えています。ぜひ皆さん自身の健康管理を徹底すると共に、学校はもちろん家庭においても、周りへの十分な配慮を意識して行動してほしいと思っています。どうぞご協力ください。
 さて、話は変わりますが、今年の札幌における桜の開花予想日は4月28日だそうです。この開花予想には、ある法則性があることを知っているでしょうか。その年の2月1日以降の最高気温を足していく中で、その累積温度が600度を超えた日に開花するという考え方です。累積温度には諸説あるらしいですが、この予想の仕方は大変精度が高いものだそうです。こういった科学的根拠が明らかになっている一方で、先日、私は、相田みつをさん の日めくりことばに「どんな雑草にも 時期がくれば だまって自分の花を咲かせ 自分の実をつける」ということばに目が留まりました。大変ポジティブなことばですし、直感的に「質実剛健・百折不撓」の精神を大切にし、雑草のように強く、全国どこにでも花を咲かせるタンポポにも例えられている北海生には、よく馴染むことばだと感じました。とはいえ、このことばの中で出てくる「時期」についてですが、それは決して、いつの間にかやってくるものではないということを、しっかり受け止めておかなければならないと思います。その「時期」は、ただ待っていればよいのではなく、物事を大成させるには、毎日の積み重ねが大切であるように、必ず具体的な行動が求められていることを忘れてはいけません。命あるものは、その命を絶やさないように自然の中で、また置かれた環境に適応しながら生きています。それは、例え雑草であっても、私たちが見過ごしているだけで、きっとひたむきに生きているということを感じずにはいられません。植物は、決して私たち人間を楽しませるために花や実をつける訳ではありませんが、私たち人間は、その美しく綺麗な花を愛でて、心を癒されたりしています。そのために私たちは植物を育てようとしますが、当然、花を咲かせるためには、正しい知識で水やりをしたり、日光に当てたり、肥料や剪定を行うことが不可欠です。つまり、理想の花を咲かせようとするなら丹精を込めることがとても大切です。
高校生である皆さんも、3年間という限りある生活の中で、自ら希望する進路を実現しようとするのであれば、自分の置かれた環境をどう活用していくべきか、周りからどんな力を借りる必要があるのか、具体的に取り組むべきものは何か、その見極めと主体性が大変重要となります。
私たちは植物とは違い、ものごとを深く考え、強い意志を持って自ら動くことのできる人間です。自分の人生ですから、自分自身と向き合う時間を大切にして、この一年の行動と努力が実り、将来、納得のいく花を咲かせるようにしたいと願います。一年の始まりですから、心を新たにして動き出していきましょう。

年度初めの話はここまでとして、次に学校生活再開のための留意点について、具体的な話をします。大変重要なことですので、静かに聞いてください。

(以下、中略)

最後に、学校には色々な事情を持っている人がたくさんいます。絶対に自分を中心に考えないでください。このような社会状況が続く中で、みなさんには、あえて色々なことに気が付いて欲しいと思っています。例えば、健康管理の方法や危機管理について学ぶ大きなチャンスであるのかも知れません。更には、コロナ感染に関係する言葉による冗談や嫌がらせ、差別を意識させる言動などが社会でも問題視されていますが、思ったことを直ぐに発信できる時代において、皆さんには良く考えて、正しく行動できるスキルを身につけて欲しいと思います。北海生であるがこそ、世の中には、このウイルスによって、大変な状況におかれている人たちが大勢いることを心に留めて、自分たちのできることを一つひとつ取り組むのだということを大切にして、他者を思いやれる青年、信頼される青年であるべきです。ぜひこの機会に私たちの人間力を高めていけるよう努力しましょう。

校長講話

2020-03-21校長先生から

今日は令和元年度の修了の日です。節目と考える大切な日ですので、本来なら厳粛な気持ちでこの一年をしっかり締めくくりたいところですが、新型コロナウイルスの感染症拡大の防止と皆さんの健康を第一に考えて、このように放送による修了式となりました。皆さんには約2週間に渡り、基本、各家庭において課題に取り組んでもらうことになったため、ストレスも溜まってしまっているのかも知れません。また、学年末試験が無くなったり、ブロック大学の語学研修も中止になってしまったことは、学校としても残念でしかたがありません。生徒の皆さんにも本当に申し訳なく思っています。しかし、この間、皆さんは時間の大切さと本当の意味での自己管理の難しさ、本来の「学び」に対して様々なことがらを考えるきっかけになったのではないかと思っています。学校において最も大事なものは授業ですが、自ら学ぶ姿勢こそがその前提にあることを、改めて理解して今後に活かしてください。

さて、今日はこの一年の成績発表の日でもあるので、評価に関する話をしたいと思います。皆さんは年間で何度か模擬試験を受験していますが、受験後に返却される答案と成績表のうち、何に重点を置いて振り返りをしているでしょうか。ただ手元に戻って来た瞬間、成績表にある偏差値や校内順位、志望校の判定だけを見て一喜一憂している人が結構多くいるように感じています。本来ならば答案の内容に対して、どこがどれだけできていないのか、なぜそうなったのか、次への対策として何に意識して取り組めばよいのか、今後どうなっていけるのかなど、自分と向き合って目標や計画をじっくりと考えることが大切です。同じように今日皆さんが受け取る通知箋も五段階評価の数字だけを気にしていては、具体的な次の行動について考えることもなく、そもそも学習に対しての考え方や物事に対する姿勢など、基本的な生活習慣に対する修正案は見出せないと思っています。まして、その表面的な評価だけを過大視し過ぎると、例えば、「自分は何をやっても、どう頑張っても結果が出せない」などと考え、もはや取り組んできたものへの評価ではなく、人間としての評価へと勝手に置き換えてしまうことで劣等感という妄想を持ってしまうことさえあります。

私は、評価を正しく次に活かすには、他者からの客観的な評価を参考にしながらも自己評価をすることがとても大切だと思っています。自分と向き合うということは、頭の中で広く、深く様々なことがらを振り返ることになります。また、振り返りには、どちらかというと反省点が主になりがちですが、良いことに対しても振り返ることの意義は大きいと考えます。正直、成績が上がったことを他者から評価されると気分もいいですし、その慶びは自信となって、次につなげられるものになっていきます。こういった成功体験であっても、なぜ出来るようになったか、自身で納得しておくことが重要です。せっかくの成功体験ですが、その根拠を知らずに過ごしてしまえば、出来ていたものがまた出来なくなることも十分あり得るのだと思うからです。

私たちは一年を通じて中期的に振り返りをする機会を持っていますが、本当は普段から学習活動や部活動、すべての行いにおいて常に自己評価することが必要であり、その中で納得感を積み重ねていくことが理想です。実は、皆さんが取り組んでいるスチューデントプランナーは、その日々の自己評価を積み重ねる訓練に他なりません。納得感を重ねることは、将来、自分が自信を持って飛躍するための足場を踏み固めるようなものですので、僅かでも向上しているという実感を持ってもらいたいです。そうすることで劣等感のような不必要な感情を持たなくてもよいことになります。

禅のことばに、莫妄想(まくもうぞう)という言葉があります。「もうぞう」「妄想」のことです。マクという字は北海高校の校歌の一番目の歌詞に「寂莫の冬去りて」とありますが、この寂莫のバクという字です。寂莫とは、ひっそりと寂しいという意味ですが、「莫」には、「何々するなかれ」という意味があるので、莫妄想は、「決して妄想することなかれ」となります。妄想とは、何かの思いに捕らわれて、それに縛られてしまうことです。妄想が入り込みやすいものは、強い憧れであったり、また先ほども触れた劣等感など多々あります。憧れることは、自分もそれに近づこうと努力できれば悪いことではありませんが、努力をせずに思いだけを膨らませることは、むしろ身動きがとれなくなります。これは皆さんが志望校を考える際、一切の努力もせずに、目標設定だけは高く持っているような場合があれば、それも同じことと考えられるでしょう。
禅の世界では、修行に努力することで莫妄想の境地に至ろうとしますが、この修行で大切にされていることは、一つ一つの取り組みが丁寧で、心を配って目の前のことを淡々とこなすことだとされています。心を配って行動することとは、決して自己中心的で我がままなものではありません。むしろ周りのことを十分に考慮して行動することです。それは端的にいうと「作法」「型」、違う言い方をすると「フォーム」といわれるものです。実際、柔道や剣道など、道という字がつくものには、すべてにおいて他者を思いやる礼儀、感謝、自己を律する精神が強く表れています。私たちが劣等感のような自縄自縛の姿に陥らないためには、日常において規則正しい生活を送る、その型やフォームを大切にすることだろうと思います。高校生である皆さんの仕事は、主体的に学習することであり、他者の考え、多様な考えを理解して様々な環境で多くの経験を積むことです。その意識の下で、まずは自分が設定したことに責任を持ち、コツコツと習慣化させる。それが皆さんにとって莫妄想への確かな一歩となり、自己目標を実現するための必須の条件だと思います。明日から春休みですが、規則正しい生活が維持していけるよう、改めてこの一年を正しく自己評価し、不足していることに対して具体的な考えと取り組みをする、そんな春休みとしてください。

卒業式 校長 式辞

2020-02-29校長先生から

おはようございます。校長の秋山です。
今朝は大変寒い朝でしたが、確実に春の気配を感じる季節になりました。3年生の皆さんは、昨日まで受験準備期間として、各々の進路の実現のために行動し、新年度からのスタートに備えて課題に取り組んだり、まだまだ受験の真っ最中ということで、時間を惜しんで机に向かっていた生徒もいたと思います。いずれにしても、皆さんの高校生活最後の頑張りに心から敬意を表します。
昨夜、皆さんにはホームページ等で急なお知らせをさせていただきました。皆さんもご存じの通り、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴い、北海道から非常事態宣言が出されました。これを受けて、本日は各教室で担任の先生からの北海高等学校・第72回卒業証書授与式を行うことにいたしました。これは学校としても断腸の思いの決断であり、今日の日を特別な思いで迎えられた皆さんと皆さんのご家族も遺憾に堪えない気持ちでいるものと思っております。大変残念なことですがどうかご理解ください。この後は、私から、皆さんにはなむけの言葉を述べさせてもらいます。
まずは、令和最初の記念すべき卒業生となる、第72期生442名の皆さん、卒業おめでとうございます。
私たち教職員もこの上ない慶びでこの時を迎えています。今、皆さんの胸の中には、北海高校での生活の様々な思い出が蘇っているのではないでしょうか。楽しかったことばかりではなく、辛かったこともたくさんあったと思います。しかし、北海高校での出会いと多くの経験から、発見や思考を繰り返してきた皆さんは、確実にこれからの時代を生き抜く力を身につけられたと、私たち教職員は強く信じています。この三年間、卒業生の皆さんが取り組まれたもの、その活躍には目を見張るものがありました。例えば、サッカー部は、昨年12月、第98回全国高校サッカー選手権大会への出場を果たしてくれました。11年ぶり10回目となる伝統校の復活です。試合では、ひたむきにプレーする選手はもちろん、仲間を信じ、心から応援するその姿勢は、実に清々しく立派なものでした。「素晴らしい選手である前に素晴らしい人間であれ」日頃からそう意識されているものが、見るものを魅了しました。また、昨年夏のインターハイには、サッカー部をはじめ、柔道部、陸上競技部、新体操部が、そして、今年一月の開催となった冬季インターハイには、フィギアスケート部門に出場をしました。中でも柔道部は、男女ともに団体で出場し、女子個人で佐々木南さんが全国3位となって校名を高めてくれました。一方、文化部においても全国大会の常連ともいえる弁論部や写真部を筆頭に多くの部がめざましい活躍をしてくれました。更に、個人の活動も実に活発でした。例えば、弁論部員でもある上田礼芽さんは、自分の視野を拡げようと外務省のユース非核特使として委任されている高校生平和大使に応募し、日本代表としてスイスの国連欧州本部を訪問して、核兵器廃絶と平和な世界の実現をめざす活動に参加しました。また、駒津柚希さんは、全日本歌唱王選手権に出場し、持ち前の歌唱力と磨き上げた英語力をもって、みごと優勝の栄冠に輝いています。後に聞くと、駒津さんは英語の授業での楽しさをきっかけに、本校の国際教育の一環であるカナダブロック大学の語学研修へ参加し、さらに現地での交流から洋楽に関心を持ったとのことでした。このように北海に学び、いろいろなものを活用しながら、それぞれの個性を伸ばし、更には潜在している能力を開花させてくれたこと、どれも学校として大変嬉しく誇りに感じるものです。
さて、北海高校は、道内はもちろん国内外において、有為なる人材育成を目的に、1885年(明治18年)に開かれました。初代校長の浅羽靖先生・二代校長の戸津高知先生らが、今日の北海高校の礎を築かれました。明朗快活の中に伝統を重んじ、いかなる苦境をもこれを排除して、何事にも屈することなく前進する「百折不撓」「質実剛健」の校風を持ち、「確かな基礎力と行動力とを共に兼ね備えた人材、いわゆる「北海健児」を育成することに全力を傾けてきました。それは今年、創立135年目を迎える現在においても、なお変わらず受け継がれてきているものです。
すなわち、皆さんは北海高校の建学の精神の基、ここにいる多様な教師と友人との出会いの中で心身ともに鍛えられ、自らも鍛えてきたことに他なりません。卒業とは、新たな始まりでもありますが、皆さんには北海高校で過ごした実感を大切に、自分に対する自信を持って社会の中で物言える人物になって欲しいと思っています。
自己の人間性を発揮する場は、何であってもよいと思います。将来それぞれが置かれた場所や環境で責任を持ち、自己の特色が発揮できる人生であってください。自分と向き合うことを大切にするならば、たとえそれが遅咲きの花であっても構いません。北海高校時代に培われた基礎力が人生の土台となり、いつかは必ず実を結び、生涯を通じて見事に花を咲かせ、世の為になる人材になってもらいたいと心から願います。
皆さんがこれから歩んでいく社会は、少子高齢化が進み、経済・社会のグローバル化の波が押し寄せ、人口知能やロボット、再生医療など新たな科学技術が進展する一方、震災からの復興、エネルギー問題、安全保障など様々な課題と向き合っていくことになります。間違いなく私たちの生活環境や働き方は、大きく変化をしていきます。このような予測不能な時代を生き抜くために、皆さんには「しなやかでたくましい」人格を備えてもらいたい。つまりは人間力の形成です。人間力とは人間としての幅や深さのことであり、教養といってもよいでしょう。教養という知的階層を自分の中に持つことは、思考の軸を正しく認識できるようになります。これを土台として社会や時代の変化に柔軟に対応できる力、多様な価値観を持つ人々との人間関係を築くとともに、様々な人種や文化を理解できる感性。そして人類が平和的に暮らしていくための幅広い知見を持ちながら、紛争が絶えない世界に独自の価値観で平和をもたらすことのできる新たな発想。そんなしなやかさを身に付けることにつながります。そのためにも、皆さんには地道に自分を磨くこと、常に自分を変革していこうという志を持つことが重要です。イギリスの生物学者であるダーウィンは、自身の著書「種の起源」の中で、進化の過程では、「最も強いものが生き残るのではなく、最も賢いものが生き残るものでもない。唯一生き残るのは、環境に合わせて変化し続けるものである」と述べています。まさにこれからの新しい時代を生きる私たちにとってヒントになり得ることばです。
 卒業生の皆さん、激励の意味をこめて、最後にもう一つことばを贈ります。
「前途は遠い。そして暗い。しかし、恐れてはならぬ。
恐れない者の前に道は開ける。」

これは、大正時代に活躍をした作家で、「或る女」「カインの末裔」などで知られる有島武郎が、これから独り立ちしていく自分の子どもたちへ向けて、どのように生きていくべきか、勇気を与える意味で綴られたことば「小さき者へ」の中の最後のフレーズです。
前途を祝す卒業式の日に、「皆さんの未来は明るい」とエールを贈る方が良いのかも知れませんが、現実には世の中は混沌とし、本当に未知なるものです。そこに船出をするには不安が伴います。人間であるが故に自分の弱さを実感し、時に折れそうになることもあります。しかし、何事にも限りをつくして、正々堂々とその困難に立ち向かう「百折不撓」の精神が、皆さんの人生のよりどころにあるならば、臆することはありません。北海高校の卒業生としての誇りと自信を持って、強く、たくましく、自分らしく生きてください。
結びになりますが、皆さんが今日の日を迎えられたことは、決して一人ではなし得ないことだということを改めて心に留めてください。今日帰ったなら、ぜひ、これまでの感謝の気持ちを家族の方に伝えて欲しいと思います。少し照れてしまうかも知れませんが、皆さんが本当に大人として成長したところを表現してみてください。きっと喜んでくれるはずです。
卒業生の皆さんの健康と幸せ、そして益々の健闘を祈念して、以上私からのはなむけの言葉とします。

令和2年2月29日   
北海高等学校長 秋山 秀司

校長講話

2020-01-17校長先生から

皆さんおはようございます。冬休みが終わって今日から授業が再開されます。ただいま表彰がありましたが、これ以外にも冬休み中には全国大会をはじめ、団体でも個人でも北海生の活躍があったことを見聞きしています。また、休み中の学校内では、3年生のラストスパートで頑張る姿が多く見られました。そのひたむきに努力する姿を見て、やるときはやる北海生らしさを感じ、大変うれしく思っています。

今日からは、新年になったという節目と、いよいよ学年末に向かっていくという意味からも、ぜひ「勉強を大切にする」その姿勢づくりに更に努力する。そんな学校を皆で作っていって欲しいです。改めて、3年生は明日からのセンター試験をかわきりに、いよいよ入試本番となります。最後まで自己目標の実現・志望校合格に向けてベストを尽くし頑張ってください。良い結果となるよう心から祈っています。1・2年生諸君は、春休みを含むこれからの過ごし方が大変重要です。今までやってきたことを基礎に、徐々に実力養成の時期になります。それは将来の自分のあり方を決定づけるものになります。そのことをしっかり自覚した生活をして下さい。

さて、今日はいざとい時に発揮させたい力、「潜在能力」について少し話をします。私たちは「自分の持っている能力がどんなものか、実は解っているようで解っていない。それが現実のようです。このことは、脳科学者の茂木健一郎先生も話されていました。

ことわざで「火事場の馬鹿力」というのを聞いたことがあるんじゃないか思いますが、その由来は、「ひとたび火事などが起きて、気が動転すると、思いもよらない力で重たいものを外に運び出した」なんていうことがこの言葉の説明になっています。実はこういった事例は本当にあるらしく、普段から強い思いを持っている場合、いざという時に脳内にある制限(リミッター)が一時的に解除されて、似たような力を発揮することがあるといいます。

逆にいえば、普段から「出来ない」「無理だ」と決めつけてしまっていれば、もう無意識のうちにその行動にブレーキをかけ、力は出せないということになります。つまり、私たちの普段の生活では、本来持っている能力の限界よりも、ずっと低いレベルの力で生活していることになるのでしょう。まだまだ出せる力が残っているのに、脳が設定したレベル以上の力が出せないのは、私たちの「思い込み」に他ならないといってよいのかも知れません。

詩人で、画家としても有名な星野富弘さんという方がいます。星野さんは群馬県で中学校の体育教員でしたが、部活動の指導中に事故に遇い手足が不自由になってしまいました。事故直後は当然、「夢も希望もない」という状況です。せっかく体育教員となり、人に感動を与え、人を育てることを使命と考えていた訳ですから当然です。しかし、星野さんは気持ちを伝えようと、口に筆をくわえて字を書くようになります。はじめから上手なわけではありません。しかし、続けて絵も書き始めました。後に星野さんは、「自分にはもう自分を活かす将来の可能性はないと思うのは、思い込みでしかない。私はそのことに気づき、脱却できたからこそ自分の絵や詩の分野における潜在能力を開花させることができたのだ」といっています。

私たちにも自分でも気づいていない未知なる能力が数多く眠っていることは間違いありません。まして、皆さんのように勉強や進路、部活動などで目標をはっきりと持ち、努力しようとしている人たちは、更なる能力を開花させる可能性は十分にあると思います。すべての人に存在するこの貴重な力を、いざという時に発揮させるためには、私たちは普段から何をしておくべきでしょうか。多分、それはひたむきな努力を積んで、丁寧な生活を続けることではないかと思います。目標を持つだけではなく、強い信念も必要だと思います。ここぞという時に思い込みのブレーキを解除して、その力を得られるよう、これからも自分づくりに努力を惜しまないで頑張ってください。

校長講話

2019-12-24校長先生から

みなさん、おはようございます。この時期、3年生の一部には、既に進路を確定した者もいると思いますが、受験の本番はこれからです。残された時間はそう多くはありませんが、勉強のやり方など工夫次第でまだ時間の確保も可能です。そして、ライバル・仲間の存在は、お互いを認め合い、励ましあい、称えあう姿勢を持つことで、自分のやっていること、取り組んでいることへの価値は一層高められます。ここまで受験や部活動で応援されてきて一区切りついた者は、ぜひ応援する側になってください。それは、毎日のようにメールで頑張れと送ることでは決してありません。大切なのは、一人ひとりがやらなければならないことに真摯に取り組み続けるということです。つまり受験生と一緒に目の前のことに努力することが重要です。受験は、学校を挙げて挑んでいくものであることを生徒全員が理解してください。そして、受験生諸君は、これからの生活で、できるだけ「できる」「なんとしてもやる」などの前向きな言葉を発するようにして、とにかく北海生らしく、ひたむきに前進してもらいたい。心から健闘を祈ります。

さて、私は先日、スノーボードパラレル大回転で5年前のソチオリンピックに出場し、銀メダリストになった竹内智香さんの講演を聞きました。その話の中に竹内さんが今の高校生に伝えたいといわれたことがあったので、それを交えて話をします。話題になっていたのは「今の日本のアスリートは、セカンドキャリアで苦しんでいる選手が沢山いる」ということでした。セカンドキャリアとは、ケガなどで若くして引退した後、途中もしくは定年後における第二の仕事ということですが、欧米と比べると日本のアスリートは圧倒的に競技者として専念する割合が高いとおっしゃっていました。例えば、竹内さんが1年ほど合宿をしたスイスでは、同じ競技者でありながら薬剤師であったり設計士であったり、とにかくもう一つ職業を兼ねている選手が普通だったそうです。彼ら、つまり欧米では、全員が全員スポーツで成功できるとは限らないことをよく理解していて、18歳まではスポーツだけではなく、とにかく学業を頑張ることが当たり前という事実を目の当たりしたそうです。もちろん、日本の高校生も部活動と勉強を両立する意識はあるけれど、将来の人生において起こりえる様々なケースを考えて学業に打ち込んでいるスイスの高校生とは、かなりの意識の違いがあることを私も知りました。

竹内さんは、18歳までに学業に打ち込むことが、将来の可能性を最大限に拡げてくれること、そして努力が実ってアスリートになった時には、その経験がむしろ強みになることを、熱く語っていました。高校生が部活動全般に取り組む意義には、競技力や技術の向上だけではなく、その活動を通じて学習意欲の向上につながるものでなければならないと私も改めてそれを考えさせられるものでした。

北海高校は部活動に頑張る生徒が多くいる学校ですが、部活動をする、しないは関係なく、もう少し学習に向かう姿勢を大切にして欲しいと思っています。既に十分に頑張っている人もいますが、それがベストであるとは言い難いです。まずは一歩前にでる努力が必要だと思います。例えば、授業を受けっぱなしにはせずに、普段から解るまで質問をするとか、知識の定着に向けた自分からの行動が必要だと感じます。そのようにして基礎力を養われたところに、部活動などもう一つの取り組みが加わることで、相乗的に自分を鍛えられることになるのだと思います。

明日から冬休みですが、皆さんには今年一年を自己点検し、来年の目標に「勉強を大切にする姿勢づくりに努力する」ことを掲げ、それが学校全体の雰囲気になるよう、みなさん自身の意識で高めていって欲しいと願います。体調を崩すことなく有意義な冬休みにしてください。

前期終業式 校長講話

2019-09-27校長先生から

皆さんおはようございます。早いもので、今日で前期が終了します。

振り返ると学習はもちろん、北海祭や部活動など、様々な場面で北海生がひたむきに活動、努力し、活躍をしてくれました。また、今日も「いじめに関する講演会」がありましたが、皆さんの真剣な態度が印象的でした。いかに自分の心をコントロールするか、対話の中でのことばを一つとっても難しさを感じることがありますが、学校生活をよりよくしているのにこういった意識を持つことは大変重要なことです。そのようなこと全てを含め、改めて皆さんのここまでの頑張りに対して称賛いたします。そして、後期を迎えるに当たり、皆さんには、要所要所での振り返りを大切に生活してもらいたいと思っています。今日はそういう意味から、禅の言葉に触れて話をします。

その言葉とは、「脚下照顧」(きゃっかしょうこ)です。皆さんも四字熟語として聞いたことがあるかも知れません。この言葉の意味は、既に文字に現れています。「脚下は、あしの下と書くので自分の足元、いま自分がいる時間や場所、あるいは立場ともとれます。照顧は、照らす、顧みると書くので、よく見つめ直しなさい」ということになるのだと思います。

「自分の足元を見つめる」 これには色々な解釈ができますが、元々は仏教から来ている言葉ですので、「見つめるべき足元」とは「自分の本性」と考えることもできます。

例えば、玄関で自分の履いている靴がどんな状態になっているか、散らかっている状況があったり、きちっと整理されていたり色々です。そこに見えているのは、その人の性格そのものと見なされるでしょう。ただ、散らかっている状況があるにも関わらず、そのことに反省をせず、自己中心的な思考で生活をするような人は、自分の行動に意識を持てないどころか、周囲の出来事や変化にも気づくことができず、何も学ぶことができないのではないかと思います。

実は、私たちの普段の言動は、ときに「常識の無さ」を疑われることがあり、一般社会では、誰からも知らされずにただ厳しく批判されたり、あるいは、どんなに高い志や能力がある人であっても、誰もそのような人にはついていこうとはしない。そんな現実があります。

本来であれば、日々の生活の中で、継続的に自分の立場、置かれた状況を踏まえて、客観的に自分を振り返ってみることが大切です。しかし、どうしても私たちは何かのきっかけがないと、自分を省みることは中々できてはいません。

例えば、私たちは、いろいろな事の始まりに必ず目標を立てています。もちろん、途中、振り返りも心掛けますが、実際には過ぎ去ったことをないがしろにし、知らず知らずのうちに目標や将来の理想も曖昧にしてしまっています。また反対に、理想の自分ははっきりしているけれど、現実の自分との間に大きなギャップを感じ、「こんなはずじゃない」と嘆いているケースもあります。

ただそこで、「それは自分だけじゃない、みんなも同じだから」と甘く考えてしまうことは、本来、向き合わなければならないことから目を逸らすことになったり、妥協でしかありません。やはり、理想に近づきたいと思うならば、そこに向かって足を踏み出す以外はないということを、私たちは強く肝に銘じておく必要があると思います。

重要なのは、モヤモヤとしたまま時を過ごすのではなく、一度しっかりと立ち止まり、現状を正しく理解すること。そして、たとえ小さな行動でも、それが理想に向かえているという手応えを感じることです。

ぜひ皆さんには、日々の生活の中に、「脚下照顧」の考えを取り込んで、「今の自分にできること」その繰り返しから、確かな足取りで理想に向かっていって欲しいと願います。自分づくりはまだまだ続きます。百折不撓の精神で、後期も一生懸命に頑張りましょう。応援しています。

8月19日 全校集会 校長講話

2019-08-19校長先生から

おはようございます。今年の夏は札幌も記録的猛暑日が続き、みなさんも自己管理には工夫が必要だったのではないでしょうか。それでも普段できないことにチャレンジをするなど充実した夏休みを過ごして今日の日を迎えてくれていると思っています。実際に多くの3年生が、毎日のように朝早くから学校が閉まるまで真剣に自習に励んでいた姿を見ました。この努力はいつか必ず報われるものだと思います。今日から授業が再開されますが、3年生はいよいよ具体的に進路を決定する時期がやってきました。とにかく残りの時間を大切にして、希望する進路実現に向けて信念を貫いてください。また、1・2年生には様々な選択が迫られる時期が近づいてきています。将来をしっかりと見据えた取り組みができることを期待します。

この後、夏休み中の全国大会に出場した各部からの報告会がありますが、暑い中で戦ってきた選手のみなさん、本当にお疲れさまでした。とりわけ柔道部女子個人-70㎏級の佐々木南さんは全国3位という素晴らしい成績を収められています。この場を借りて改めてみなさんの健闘を心から讃えます。

さて、夏休みに入る前の集会で、私はみなさんに信念を持って欲しいという話をしました。根拠のない自信を持っていても行動はできないが、信念を持つことで行動につながるという話でした。今日は、それに関わる話をします。

ロバート・クリーゲルというアメリカの心理学者が書いた本の中に「信念の源は情熱」であるということがらを見つけました。このクリーゲルという学者は、1500人を対象に20年間に渡ってある追跡調査をした人物です。世の中で自分の能力を十二分に発揮し夢を実現させている人と、いくら意識してもそうはならない人に、どんな違いがあるのかを科学的に検証したものでした。この研究の結論をいうと、優れた能力に恵まれているけど消極的に生活をしている人より、いわゆる凡人といわれる普通の人でも、何にでも情熱的に打ち込める人の方が、夢を実現できる確率が圧倒的に高いというものでした。つまり、情熱ある人は、リスクをものともせず、何が何でも目標を実現させることができるということです。ではここで「情熱とは何か」ということですが、アップルで有名なスティーブジョブズは、「情熱とは使命」であるといっています。使命はミッションともいいます。つまり、「自分はこれをすべきだ」ということを自覚することであり、それはどう生きるかということに置き換えられます。使命感を持つことは、自分の人生に情熱を傾けることだといっていいでしょう。

この休み中、女子ゴルフの全英オープンで42年ぶりの快挙という報道がありました。岡山県出身、二十歳の渋野日向子選手です。実は彼女がプロテストに合格したのは昨年7月です。その直前、彼女の地元では中国・四国地方豪雨という災害が発生していました。渋野選手は、復興が必要なのにこのままテストを受けていいのかと複雑な思いでいたそうです。しかし、被災された人たちから応援を受け、強い思いでプロテストを受けたことを会見で語っていました。使命という言葉は使っていなかったけども、

地元を元気づけるには、私が結果を出すしかない

と決意したそうです。きっと渋野選手は、その使命感をもって難関であるプロテストに合格をし、全英オープンの偉業もプロゴルファという自身の生き方に情熱を燃やす中で達成し得たものだと思います。

夏休み前、みなさんには校内で実施している「学校生活アンケート」に回答してもらっていますが、そこには「自分の進路が決まらないことへの悩み」や、「学習習慣の向上に対して行き詰まりを感じていることへの悩み」があることを見て取れました。進路とは生き方そのものですから簡単な訳は決してありません。だからこそ自分のことを深く理解しようとしたり、自分にとっての使命とは何かを考え、それを見つけていくことが大切になると考えます。実際の勉強時間の確保とかとは別にそういった心を養っていくバランスも重要であると言えます。節目となる前期終了まで約6週間、多くの選択に迫られる後期によりよいスタートを切るためにも、自分としっかりと向き合いながら丁寧に生活することを願い、今日の私の話を終わります。

7月21日 全校集会 校長講話

2019-07-23校長先生から

改めてみなさんおはようございます。ただいま、大変多くの表彰をしました。本当にここまでの皆さんの頑張りに嬉しさを感じています。

また、先日は硬式野球部の全校応援がありました。試合は惜しくも敗れはしましたが、選手たちは北海生らしい粘りのある決してあきらめないプレーをしてくれました。それはまた、全校生徒の応援の力がそうさせてくれたものだと実感しています。実際、応援には大きな力が存在します。例えば、受験は団体戦であるともいわれますが、お互いに励まし合いながらそれぞれの目標に向かっていくことは、一人で取り組むよりも大きな力を与えてくれるものです。こういった力があることを信じて、ぜひ今後の生活の中に役立てて欲しいと思います。

ここで一つ報告になりますが、野球部キャプテンの辻本君が、今年の夏の甲子園大会の開会式で、全出場校の先頭を歩く先導役に選出されていることを紹介しておきます。今の阪神甲子園球場は、夏の甲子園第10回大会の1924年に完成したもので95周年を迎えています。95年前の開催初日の第一試合が静岡高校と北海高校の対戦でした。激戦のうえ勝者となったのが北海です。つまり、夏の甲子園大会初勝利は北海であったわけです。今年は元号も変わり、また101回大会という新たな歴史のはじまりの年になっています。そんな巡りあわせから、時を経てこのような形でみなさんと北海と全国の野球史を共有し、北海の名が知られることは、私たちにとって大変名誉であることだと感じています。辻本キャプテンには、ぜひ胸をはって堂々とその大役を務めてきて欲しいと思います。

さて、今日は、「信念を持つことの大切さ」について少し話をしたいと思います。

皆さんはエドモンド・ヒラリーという人物を知っているでしょうか。ヒラリーは、ニュージーランド出身ですが、イギリスの登山隊に所属して人類初のエベレスト登頂に成功した登山家です。ヒラリーは、登頂を成功させる前に、別の登山隊の一員としてチャレンジをしたことがありましたが、隊員の命を失うとともに失敗を経験していました。この失敗の直後、ロンドンの街中、多くの民衆の前でその報告会が行われました。このときヒラリーは、そこに飾られていた大きなエベレストの写真に向き直って、こう宣言したそうです。「エベレストよ、今回は私たちの負けだ。だが必ず舞い戻って登頂してみせる。なぜなら、山はこれ以上大きくならないが、私はもっと成長できるからだ」と。この宣言は、もはや国の威信をかけることだけではなく、命を落とした仲間や支援してくれる人たちへの強い誓いであったのだと思います。

私たちの周りにも乗り越えなければならない障壁はたくさんあります。大きなものとしては受験がそうです。普段の行動の中にも様々なものがあるはずです。いかにその障壁を小さくして乗り越え易くできるかという戦略的な考えもなくはないですが、本当に大切なのは、ヒラリーが言うように、自分を大きくして乗り越えていくのだということです。

そうすることで、人生の中の様々な障壁にもそう安々とは挫けることはないのでないかと思えます。しかしこれは、単に自分に自信を持つということではありません。自分を大きくするその唯一の方法となるのは、自分には必ず乗り越えられるのだという前向きさ、つまり決意であり信念を持つことです。人は自信を持つだけでは行動に至りませんが、信念には必ず行動が伴うということを、ぜひ私たちは学んでおきたいと思います。

自分はこうやるという強い意志を持って計画を立てても、気付くとその通りできていないことが間々に在ります。

もし皆さんも、自分には行動が伴っていないと思うことがあるなら、自分に強い信念があるかどうか、一度しっかりと検証をすべきだと思います。

そして、良い結果を得たいのであれば、それにふさわしい行動をとることが必要です。ぜひ実り多い秋を迎えるために、この夏にこそ強い信念を自分の中にしっかりと持って欲しいと願います。

いよいよ明日から夏休みです。まとまった時間がとれるというメリットと活かして、ぜひ自分を向上させることのできる時間の使い方を考えてください。特に3年生は、休みが明ければすぐに進路決定に向けての具体的な動きが始まります。進路意識の向上・学習の質と量など休み中の一定の取り組みが、進路実現のための決定的な土台になります。しっかりとした健康管理と時間を上手に活用することで、充実した夏休みを過ごして下さい。これで今日の話を終わります。

開校記念日前日 校長講話

2019-05-15校長先生から

 北海高校は明日、創立134周年となる開校記念日を迎えます。表彰に引き続いて、今日は北海の歴史について少し話をいたします。

北海の歴史は、その源である北海英語学校の時代から始まり、北海中学、そして北海高校と変遷してきました。ちなみに今年3月に卒業した先輩は、高校の71期生になります。従って今の3年生諸君は高校の72期生、2年生は73期生、1年生は74期生ということになります。ぜひこの機会に知っておいてください。そして私も北海高校卒業で、高校35期です。

北海高校の起源となる北海英語学校は、1885年(明治18年)の3月に開校しています。1885年という年は、日本に内閣制度が創設された年ですが、初代内閣総理大臣はだれですか? 伊藤博文ですね。時の初代文部大臣は森有礼という人物です。明治の時代は維新の時代です。いろいろな意味で日本が欧米に追いつくためには、近代的な教育制度を整える必要がありました。1876年に高等教育機関として札幌農学校(現北海道大学)が開校していましたが、そこへ進学するための中等教育機関はなかったため、北海英語学校は、道内唯一の中等教育機関として開校したわけです。なぜ英語学校であったかというと、当時の高等教育機関にはアメリカ人教師が多かったため、相当な英語力が必要だったと考えれば納得できると思います。ちなみに、公立で初めて開校した中等教育機関は、札幌中学、のち札幌一中と呼ばれた現在の札幌南高校で、北海の10年も後のことになります。

北海草創期に欠かすことができない人物には、大津和多里、浅羽靖という人物がいます。浅羽靖は、北海英語学校に中学部をつくり、1901年(明治34年)の5月16日に認可を受けます。これが現在の開校記念日の由来であり、浅羽は北海学園の父とも称されています。毎年、浅羽先生の命日である10月22日には浅羽祭というものも執り行われています。話を戻して、この時代には、当時の世相もうけ「自由と正義」「反骨の精神や在野の精神」、そして「質実剛健・百折不撓」など、いわゆる後に「建学の精神」と形作られるものが産み出されることになります。そして、これら先人たちの志を基礎に、今日により近い北海高校の気風を築き上げたといっても過言ではない人物が、戸津高知という先生です。

戸津先生は、もともと仙台の出身で、札幌農学校への進学を目標に北海英語学校に学びました。つまり戸津先生は君たちの大先輩です。そして、札幌農学校に進学した後、札幌中学(現札幌南高校)の英語教師になりますが、まもなくして母校の教頭となり、1905年には、校名も北海中学校という名前に変わりました。

戸津先生の時代には、いろいろな理由から公立に入学できない、例えば、体が不自由であったり、当時の社会に対して批判的で、はみ出し者として見られていたような生徒にも入学を許しました。当時はまだ、社会には自由さがなく、世の中全体が画一的であったため、枠にはまらない生徒は、公立では受け入れられなかったというのが一般的でした。それに対して、とにかく人格や個性を伸ばそうというのが、北海の教育の原点になった訳です。

戸津先生は、学校に自由な空気をもたらす中にも、生徒の学習に対しては非常に厳格で、同時に文化活動やスポーツの振興に力を尽くされたと言われています。また、地域社会の要望に応えられる人材を育成するという使命をより強くした時代でもあり、その日常からの鍛錬こそが北海が文武両道といわれるようになった所以だろうと思います。

「北海百年史」という文献を見ると、北海中学の生徒は、「勉強する者は猛烈に勉強し、スポーツに打ち込む者は徹底的にスポーツをやっていた」ことがよくわかります。その結果として、当時の一般的な教育の枠にはまらずにいた生徒の中からも後世に名を残すような卒業生が多くでていきました。

学術分野の代表といえば、日本初の癌の集団検診をはじめ、日本学士院院長、東北大学学長を務めて文化勲章を受章した黒川利雄博士がいます。また、スポーツ面での代表といえば、ロサンゼルスオリンピック陸上競技三段跳びの金メダリストである南部忠平がいます。職員玄関近くの会議室前には、2体のブロンズ像があるのを知っていると思いますが、正にいま紹介したお二人の像です。

冒頭、私は高校35期の卒業生といいましたが、私が高校1年生の時、北海高校は創立95周年を迎えました。私はその記念講演として、黒川先生、南部先輩のお話を聞いた経験があります。

南部先輩は、「スポーツ人生」、黒川先生は「癌について」というタイトルでの講演でした。そのほとんどの内容は私の記憶からは消えていましたが、当時の私たち在校生に向けられたあるメッセージは、大変共感をして、言葉だけは覚えています。

南部先輩の言葉は、北海生は「学校の優等生より、社会の優等生になれ」というものでした。当時高校生だった私は、素直にそうだな、そうありたいな と思ったことを記憶しています。先ほども話にだした「北海百年史」を読むと、この言葉は、そもそも南部先輩の時代の校長・戸津先生の口癖であったことが書かれていました。また、南部先輩は、自ら「紺碧の空に仰ぐ感激の日章旗」という著書を記しています。その中には、100分の1秒を縮めるために、馬の動きからスタート・ダッシュの研究をしたとか、猿の飛び上がる様から助走スピードのヒントを得たなど、たゆまない研究と練習としたというエピソードが書かれているのですが、「自分の才能や個性を見つけられたこと、そして自分に自信を持って研究や練習にあたる強い精神力を築くことができたそもそもは、北海中学時代にあったと述べています。「学校の優等生より、社会の優等生になれ」南部先輩はきっとこの言葉にいつも励まされながら、世界一という偉業を成し遂げることができたのだと思います。

また、黒川先生からの言葉は、「山上に山あり、山また山」というものです。これについても「北海百年史」によれば、黒川先生が、中学を卒業してから浅羽校長から受け取ったはがきの一節であったこの言葉を、黒川先生自身の処世訓としていたものであることがわかります。

黒川先生は、胃がんの集団検診車の開発で、実際に早期発見により成果をだすまでには20年以上を要し、同時に最先端のがん治療法の研究も続けていましたが、医学の道は、山を登り詰めたかと思えば、また目の前には高い山がそびえ、それに挑まなければ人の命は救うことができない。そのような立場にあった黒川先生が苦難に立ち向かうとき、先生自身がいつも思い起こす言葉であったことを想像することができます。

「学問にも、人生にも、山を乗り越えればまた山があるんだ、人は一生努力し学び続けることが大事なんだ」という意味を持つこの言葉、「山上に山あり、山また山」は、ぜひみなさんにも代々伝えていってほしい北海ならではの言葉です。

北海の卒業生には、このように社会の優等生が本当に数多くいると思います。それは、歴史に名を残しているか否かではなく、自分の持っている才能や個性がここで見出され、それを磨き、大小あっても社会の中で他に良い影響を与えている人という意味になるでしょう。それが社会の優等生です。北海の建学の精神は、どれだけ時間が経っても脈々と受け継がれています。私はそのことに誇りを感じています。皆さんも、そういう土壌に、いま根を張って、やがて花をつけ実をつけることのできる大きな可能性をもっていることを今一度知って欲しいと願っています。これからの高校生活の中、良き指導者、良き友を得て、良い伝統を継承していくとともに、皆さん自身の人間形成にプラスになる学校生活を送ってほしいと思います。以上で、開校記念に際してのお話を終えます。

2019年5月16日

入学式 校長式辞

2019-04-09校長先生から

 2019年度入学式式辞

陽射しに柔らかな春の兆しが感じられる季節になりました。本日この佳き日に、学校法人北海学園理事長、また北海商科大学学長でいらっしゃる森本正夫先生をはじめ、北海学園大学学長・安酸敏眞先生、北海学園札幌高等学校校長・大西修夫先生、そして北海学園理事・役員の皆様、校友会、PTA、旧職員など関係各位のご臨席を賜り、また多数の保護者の皆様の見守る中、本日ここに北海高等学校の平成三十一年度入学式を挙行できますことは、私たち教職員にとりましてこの上もない慶びとするところであります。
 425名の新入生の皆さん、入学おめでとう。私たち教職員はもちろん、皆さんの先輩となる2年生・3年生も皆さんの入学を心より歓迎しております。真新しい制服に袖を通し、この学び舎で新しい友と出会う。「春」は常に人の心をうきたたせ幸せを感じることのできる季節です。新しい出会いは人生の慶びであり、また大きな責任を感じる瞬間であります。
 北海高校は、1885年(明治18年)に創立された北海英語学校を起源としております。北海英語学校は、札幌農学校予科(現在の北海道大学)への進学をめざした中等教育機関でしたが、英語はもちろん、数学、地理、歴史、理学なども英語の原書を使って授業が行われました。つまり「英語を学ぶ」のではなく、「英語で学ぶ」学校であったわけです。その教育のあり方には、新しい時代を切り拓いていこうという理念や志の高さを伺い知ることができるように思います。志によって学校が創られ、教師も生徒も志に生きた、そこに北海高校の教育の原点があります。

北海高校は、創立以来、今日まで134年の歴史を刻み、道内有数の伝統をもつ学校です。4万人を超える卒業生は、北海高校の卒業生であることを誇りとして、社会のさまざまな方面で活躍し、本校は名実ともに北海道を代表する私立高校として、全国にその名を知られております。
 北海高校の歴史は、明治の時代から各時代を生きた青年たちのかけがえのない青春の歴史に他なりません。5月より新元号が「令和」となります。新入生の皆さんはその1期生になり、北海高校の歴史に新たな青春の1ページを加えることとなります。皆さんが、この北海高校を青春の舞台として、自からを磨き、輝かせ、互いに励まし合い、助け合いながら、自律した立派な若者として成長するよう心から願っております。
 さて、皆さんは今、高校生活のスタート地点に立っています。それぞれにこれから始まる高校生活への夢や希望を抱いていることでしょう。多少の不安もあるかもしれませんが、何よりも大切なことは、義務教育を終え高校に入学した今この時が、自分自身の人生を自ら創造していくはじまりであるということです。まずそのことをしっかりと認識してほしいと思います。高校入学とは、自立した自分づくりの出発点に他なりません。
 新入生のみなさんが高校生活をスタートさせるにあたり、ぜひ心に留めていただきたいことを2点、お話したいと思います。
 ひとつめは、一日も早く大人としての考え方をもってもらいたいということです。子どもが持つ甘い考え方を捨て去るという覚悟をもってほしいのです。江戸時代末期、現在の福井県出身の幕末の志士であり、思想家でもあった橋本佐内が、数え年15歳の時に「啓発録」というものを記しています。佐内は自身の子どもの頃を振り返って「これまでの自分は何をしてもおろそかで、注意が行き届かず、いくら勉強しても進歩がないように思う」そう自己を分析をし、自分を恥じて自己変革のための宣言をこの「啓発録」に記しました。その中には自分の生き方の指針として「稚心を去る」「気を振るう」「志を立つ」「学に勉む」「交友を択ぶ」という五つのことを示しています。佐内はこの宣言に対し、強い信念と責任をもって実行し、やがては全国を舞台に活躍する人物へと自らを変えることに成功することができました。

新入生の皆さんも、自分を変える第一歩として、何よりも「稚心」(子どもっぽい心)を捨てるということを考えてほしいと思います。自律する覚悟をもつ、つまり自分の人生を創り上げていくのは自分自身なのだという自覚をしっかりともってほしいと願います。
 今ひとつ、新入生の皆さんに望みたいことは、これから始まる3年間の高校生活の中で、よりよい習慣を身につけてほしいということです。アメリカの作家でコラムニストのウィルファード・アラン・ピーターソンは、「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。変化するには、古い習慣を新しい習慣と置き換えねばならない」と述べています。人間は、普段意識していない習慣性の中で漠然と生活することが多くあります。しかし、その習慣によってこそ人は育成され、人生は繰り返される習慣の結果として形作られます。新入生の皆さんには、自らの行動を客観的に捉える意識を持ち、ぜひこの高校生活3年間の間に、自分を成長させ、よりよい人生を導くような、よい習慣を身につけることに努めてほしいと思います。子どもっぽい心を捨て去ることと、自分を成長させるよい習慣を身につけること、ぜひ心に留めておいてください。
 そしてまた、北海高校には、建学以来の基本精神を表すものとして大切にしている「質実剛健」「百折不撓」という言葉があります。ちょうどその書が皆さんから見て左手に掲げられております。「質実剛健」とはうわべを飾ることがなく誠実であり、心身ともに強くたくましいという意味です。「質実」であることは信頼される人間であるための基礎であり、「剛健」であることは自分らしく生きるために不可欠なことです。また「百折不撓」は何度失敗しても挫折してもくじけないという意味です。北海生の誇りは失敗しないことや挫折しないことではなく、失敗しても挫折してもそれにくじけないことにあります。新入生の皆さんには、自分らしく、よりよく生きていくためにこそ「質実剛健・百折不撓」の精神を自らの中に根付かせてほしいと願います。
 北海高校での三年間には、自分づくりのきっかけとなるもの、糧となるものが数多くあるはずです。ぜひ積極的な姿勢で高校生活に臨み、確かな自分といえるものを創り上げてほしいと思います。そのために、私たち教職員も精一杯、皆さんをサポートし、この三年間、皆さんと共に歩みたいと思いを新たにしております。
 結びとなりましたが、保護者の皆様にはお子様の教育を本校に託していただき、心よりお礼を申し上げます。ご期待にそえるよう教職員一同力を尽くして日々の教育に取り組んでまいります。今日から始まる北海高校での三年間の生活が、新入生の皆さんにとって、人間的成長の新たな出発点となり、人生の確かな土台となることを心から願い、以上式辞といたします。              平成31年4月9日 北海高等学校校長 秋山秀司

始業式 校長講話

2019-04-08校長先生から

4月になっても雪の日が続き、春も少し足踏みしたかのような気がしますが、木々には新しい芽吹きがみられ本格的な春の到来を感じています。先日には新元号「令和」の発表があり、いろいろな意味で新たな始まりとなりました。

修了式の日には離任式がありましたが、前年度でご退職された山崎省一先生に代わり、この春からは私が校長を務めることになりました。微力ではありますが、教職員の方々と共に力を合わせて北海高校の教育に力を尽くしたいと、思いをあらたにしております。どうぞよろしくお願いします。
 さて、今日から新学期が始まりました。皆さんも心新たに今日の日を迎えてくれていると思っています。春は希望の季節であり、新しい出会いの季節です。君たち一人ひとりにとって、よりよい自分を創りだす良い機会となることを心から願っています。
 徳川家康という武将は、誰もが知っていると思いますが、家康の人生訓に「不自由を常と思えば不足なし。堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思え」という言葉があります。これは、不自由なことがあっても、実はそれが当たり前のことだと考えれば不満を感じることはないということです。様々な出来事に我慢ができなくなったり、我がままになってしまい、すぐに怒ってしまうようことがあれば、それは正しい心の持ち方ではない。自分をコントロールできなくなるのは、「心の敵」だと思いなさい。という意味になろうかと思います。

現代は科学技術の発展もあり、私たちの生活の質は大変向上し、便利で豊かなものになっています。しかし、それらのことに慣れすぎてしまったり、合理的なことばかりを追求したりする中で、本来そこにある大切なプロセスを踏まえることに対しては、「面倒だ」とか、「無駄じゃないか」と考えてしまいがちです。それは安易に思考することを敬遠していることにも他なりません。

 また、先ほどの人生訓には、「勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば、害その身に至る」という言葉が続きます。これは、勝つことばかり知っていても、負けを知らないことは大変危険であるという意味です。学習においてもスポーツにおいても、目標を達成するために必要なものは、まず自分自身の弱さを知り、失敗とその悔しさをバネにして、心を強くしていけるかどうかが根底になくてはならないと思います。つまり、失敗することがいけないのではなく、むしろその失敗の経験は重要なことであり、大切なのは、何度失敗しても挫けないということになるのだと思います。まさにそれは、北海高校の建学の精神「質実剛健・百折不撓」に通じるものです。人の気持ちとは、実は弱いものですから、失敗の原因をついつい他人や環境のせいにしてしまったり、せっかく何かに決意して立てた計画であっても簡単に崩してしまうようなこともあるのではないでしょうか。そのようなことが起こり得ることを、予め肝に命じて生活する必要があるかと思います。

新学期というこの節目に、ぜひ自分という感情をコントロールし、人に対しても、自分に対しても心の持ち方を向上させる、また新たな自分づくりの出発点としてほしいと思います。納得のできるよい一年を皆で創りあげていけるよう努力していきましょう。

以上で、年度の初めにあたっての私の話を終わります。

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