【講話】2024始業式 校長講話
2024-04-08校長先生から
新年度になりました。3年生は最上級生として、学習活動、学校行事、部活動、進路決定と集大成の1年です。北海生らしく最後まで諦めない姿勢を貫いてぜひそれぞれの目標を達成させて下さい。皆さんの頑張りを心から応援しています。そして、2年生は学校全体の中心となる学年です。これまでの学習、生活を通じて学んだことを基礎に、更なる挑戦を続けて人間的にも向上させてもらいたいと願います。
そして、明日は入学式です。皆さんにも後輩ができますが、信頼され、尊敬されるような大人としての振舞い、リーダーシップを発揮して下さい。誰にとっても気持ちの良い学校になることを目標に、力を合わせて、今年度も勢いのある一年にしていきましょう。
さて、今日は、今一度、皆さんに自己改革の気持ちを持って欲しいと思い話をします。
江戸時代中期の人に石田梅岩という人がいます。日本史の教科書にも登場する人物です。もともとは農家の出身ですが京都の町に出て、奉公をしながら独学で儒学や仏教を学びました。やがてその研究が実を結び、学問を樹立させます。こころの学と書いて「心学」と呼びます。
心学とは、簡単にいうと道徳的な行いや生きる上で必要な倫理観を示す学問です。その中で、人間が生まれつき持っているものを紹介しているんですが、それは、一つに、人間は、自分の気の赴くまま、わがままな行動をとってしまうこと。そしてもう一は、人間は、誰もが何かの能力を持っているということです。
梅岩は言います。生まれつき持ってる能力があっても、それを自覚していなかったり、又は、判っていてもそれを伸ばそうと努力しないで結果を得られない人がいると。
このことを逆に考えると、特別秀でた能力を持たない人でも、努力と工夫しだいで輝く存在になれるのだと思います。
しかし、人間はとかく自分の短所や欠点を生まれつきのものだと言って努力することを諦めてしまう傾向があります。きっと、その方が、苦労がなく楽だからでしょう。
実は、現代の私たちにとっても留意しなければならないことだと思っています。AIなどが活用され生活は極めて便利な方向へと進んでいますね。苦労や努力をしなくてもできることが実に多くなってきたと感じます。
梅岩は、このような考え方は、決して人間として正しい生き方ではない、どんな状況でも努力は必要であると強く批判しています。便利なツールが増えそれを活用することで、できなかったことができるようになる。自分の欠点や短所を補うことができても、それをかばい過ぎてしまうことは、自分で、自分が本来持っている可能性を阻んでしまっていることに他ならないと思います。
では、どのような考えや行動をとればいいでしょう。
孔子は、論語で「性相近し、習い相遠し」と言ってます。
この意味は、人間は生まれた時には大差がないけれど、習慣や教育を受けることで大きな差がつくという意味です。
つまり、与えられた環境で良い行いを習慣化することができれば、人は大きく変わるということです。
では、習慣化させるために必要なものはなんでしょう。
それは、理想だと思います。理想は、一言でいうなら自分のやりたいことであり、最も大切なのは、それを忘れないことです。
例えば、皆さんの今年の目標はなんでしょう。残りの高校生活で何を実現させたいですか。これらの問いに、しっかり答えられるようにして、その理想を絶対に忘れないことです
理想を念じながら、反省と改善を繰り返し、物事をやり抜く習慣ができれば、必ず自分の描いているものに近づき、結果に繋がっていく、そう信じます。習慣化できている人と、思うがままに行動する人との差は、とてつもなく大きな差になることをよく理解して、今年度も学びの多い一年になることを祈念しています。