資料請求フォーム

新着情報

札幌市にある北海高等学校から
新着情報をお知らせしています。

【講話】夏休み前の全校集会 校長講話

2025-07-22校長先生から

 まず、皆さんのここまでの学校生活について、皆さんの様々な活動には、本校が創立140周年という節目であることを、常に意識しながら取り組んでくれていることを肌で感じています。北海祭は一人ひとりが積極的でしたし、弁論大会では、弁士・聴衆ともに学びの姿勢が大変立派でした。また、部活動でも最後まで諦めない気持ちで取り組んで、随所に北海生らしさが見えました。皆さんの、これまでのその努力と成果に心から敬意を表します。
 さて、先日まで三者懇談でした。学習や進路に関する話が多かったのだと思いますが、実際のところ3年生の多くは部活動から学習への切り替えの時期です。この時期、学年を問わず大切なのは、今一度、自分の生き方について、しっかりと自分と向き合ってみること。そして、志を明確にしていくことです。
 そして、明日から夏休みとなりますが、普段以上に自分を律して生活することが目標になるはずです。信念を持って努力する人は必ず成長します。そして、その努力は必ず報われます。皆さんの先輩も、この時期は、取り組み方を再確認し、ポジティブな考え方で丁寧に過ごすことを大切にして後々の進路の実現につなげていきました。
 また、夏休み中は、全国大会に出場する運動部員もまだまだいます。同じ北海生として、たとえ目指すものに違いがあっても、互いに応援し合う心を持つことは自分の人間性を向上させます。勉強にも課外活動にも、応援の力はとても大きなものです。自分が応援されるためにも、まずは応援する心を育て、北海生は一つのチームであるという認識を持って確かな土台作りを心掛けましょう。
 さて、ここで話を変えます。皆さんは「ぐりとぐら」という絵本を知っているでしょうか?
 2匹の野ネズミが森で見つけた大きな卵でカステラを作り、動物たちと分け合うという物語です。この本を書いた中川李枝子さんは、戦時中、札幌へ疎開した経験があります。当時は、一般住民にまでスパイ容疑がかけられる。そんな不安から「故郷に帰りたい」という一言すら、自由に発することができなかった。そんな中川さんの経験談が、少し前の北海道新聞に掲載されていました。
 中川さんは戦後、保育士になりました。自分が戦時中に経験したこと、そして、こうありたかったという思いが、自分の生き方につながったとおっしゃっています。未来を担う子どもたちには、のびのびと生きることが、何より大切であるという願いから物語の創作をはじめました。
 「ぐりとぐら」に描かれている「分け合う」や「ともに生きる」という姿には、戦争を経験したからこそ生まれた願いが込められています。
 私たちは今、直接的には戦争のない日本で生活していますが、世界に目を向ければ、戦火の中で生きる子どもたちがいます。戦争は過去の話でも、遠い国の出来事でもありません。今年は戦後80年です。夏休み中にはテレビや新聞でも、戦争に関する報道が増えるはずです。とくに2年生は沖縄修学旅行に向けて、学びを深めていく機会でもあると思います。大事なのは、自分が感じたこと、考えたことを、例えば自分の言葉にしてみる。そうした経験が、平和を「自分ごと」として考える第一歩になると私は考えます。
 本校の生徒玄関横に「わだつみ像」がありますが、作者である卒業生の本郷新さんは、夢を語ることさえ許されずに戦地へ向かった若者の姿を表現し、母校の生徒には、当時の若者の思いを感じとれる心を持って欲しいと、創立100周年の年に建立されました。わだつみ像は、今を生きる私たちに問いかけています。「この平和をどう受け継いでいくのか」と。
 平和は、誰かが与えてくれるものではありません。一人ひとりが感じ、考え、時には行動して守り続けられるものです。そしてもう一つ。学びたくても学べなかった時代があったということを、ぜひ、私たちは心に留めておきたいと思います。今、こうして学べることが、どれだけ尊く、大切なことか、そのことを忘れないでください。
 自分の命も、人の命も、学びも、日常も、決して当たり前ではありません。だからこそ、一つひとつ、どれも大切にしていきましょう。皆さんにとって、事故やケガのない、有意義で実りある夏休みになりことを心から祈念しています。
 最後に連絡をして今日の話を終わります。
 本校は、今後の教育活動が更によいものになるために、創立140周年を機に新体育館の建設に着手することになりました。現体育館は、来年の4月ごろから解体され、予定では令和10年2月に完成する予定です。
これに伴って、代わりの体育施設を、現在、校舎裏旧テニスコートの場所に建築中です。また、これとは別にトイレの改修工事をこの夏休み中に実施します。皆さんには何かと不便をかけることもありますが、気持ちよく学校生活を送るための工事ですので、ご協力をお願いいたします。

カテゴリ
お知らせ
学校公開
校長先生から
フォトギャラリー
月別アーカイブ
最近の記事
最近の記事