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卒業式 校長 式辞

2020-02-29校長先生から

おはようございます。校長の秋山です。
今朝は大変寒い朝でしたが、確実に春の気配を感じる季節になりました。3年生の皆さんは、昨日まで受験準備期間として、各々の進路の実現のために行動し、新年度からのスタートに備えて課題に取り組んだり、まだまだ受験の真っ最中ということで、時間を惜しんで机に向かっていた生徒もいたと思います。いずれにしても、皆さんの高校生活最後の頑張りに心から敬意を表します。
昨夜、皆さんにはホームページ等で急なお知らせをさせていただきました。皆さんもご存じの通り、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴い、北海道から非常事態宣言が出されました。これを受けて、本日は各教室で担任の先生からの北海高等学校・第72回卒業証書授与式を行うことにいたしました。これは学校としても断腸の思いの決断であり、今日の日を特別な思いで迎えられた皆さんと皆さんのご家族も遺憾に堪えない気持ちでいるものと思っております。大変残念なことですがどうかご理解ください。この後は、私から、皆さんにはなむけの言葉を述べさせてもらいます。
まずは、令和最初の記念すべき卒業生となる、第72期生442名の皆さん、卒業おめでとうございます。
私たち教職員もこの上ない慶びでこの時を迎えています。今、皆さんの胸の中には、北海高校での生活の様々な思い出が蘇っているのではないでしょうか。楽しかったことばかりではなく、辛かったこともたくさんあったと思います。しかし、北海高校での出会いと多くの経験から、発見や思考を繰り返してきた皆さんは、確実にこれからの時代を生き抜く力を身につけられたと、私たち教職員は強く信じています。この三年間、卒業生の皆さんが取り組まれたもの、その活躍には目を見張るものがありました。例えば、サッカー部は、昨年12月、第98回全国高校サッカー選手権大会への出場を果たしてくれました。11年ぶり10回目となる伝統校の復活です。試合では、ひたむきにプレーする選手はもちろん、仲間を信じ、心から応援するその姿勢は、実に清々しく立派なものでした。「素晴らしい選手である前に素晴らしい人間であれ」日頃からそう意識されているものが、見るものを魅了しました。また、昨年夏のインターハイには、サッカー部をはじめ、柔道部、陸上競技部、新体操部が、そして、今年一月の開催となった冬季インターハイには、フィギアスケート部門に出場をしました。中でも柔道部は、男女ともに団体で出場し、女子個人で佐々木南さんが全国3位となって校名を高めてくれました。一方、文化部においても全国大会の常連ともいえる弁論部や写真部を筆頭に多くの部がめざましい活躍をしてくれました。更に、個人の活動も実に活発でした。例えば、弁論部員でもある上田礼芽さんは、自分の視野を拡げようと外務省のユース非核特使として委任されている高校生平和大使に応募し、日本代表としてスイスの国連欧州本部を訪問して、核兵器廃絶と平和な世界の実現をめざす活動に参加しました。また、駒津柚希さんは、全日本歌唱王選手権に出場し、持ち前の歌唱力と磨き上げた英語力をもって、みごと優勝の栄冠に輝いています。後に聞くと、駒津さんは英語の授業での楽しさをきっかけに、本校の国際教育の一環であるカナダブロック大学の語学研修へ参加し、さらに現地での交流から洋楽に関心を持ったとのことでした。このように北海に学び、いろいろなものを活用しながら、それぞれの個性を伸ばし、更には潜在している能力を開花させてくれたこと、どれも学校として大変嬉しく誇りに感じるものです。
さて、北海高校は、道内はもちろん国内外において、有為なる人材育成を目的に、1885年(明治18年)に開かれました。初代校長の浅羽靖先生・二代校長の戸津高知先生らが、今日の北海高校の礎を築かれました。明朗快活の中に伝統を重んじ、いかなる苦境をもこれを排除して、何事にも屈することなく前進する「百折不撓」と「質実剛健」の校風を持ち、「確かな基礎力と行動力とを共に兼ね備えた人材、いわゆる「北海健児」を育成することに全力を傾けてきました。それは今年、創立135年目を迎える現在においても、なお変わらず受け継がれてきているものです。
すなわち、皆さんは北海高校の建学の精神の基、ここにいる多様な教師と友人との出会いの中で心身ともに鍛えられ、自らも鍛えてきたことに他なりません。卒業とは、新たな始まりでもありますが、皆さんには北海高校で過ごした実感を大切に、自分に対する自信を持って社会の中で物言える人物になって欲しいと思っています。
自己の人間性を発揮する場は、何であってもよいと思います。将来それぞれが置かれた場所や環境で責任を持ち、自己の特色が発揮できる人生であってください。自分と向き合うことを大切にするならば、たとえそれが遅咲きの花であっても構いません。北海高校時代に培われた基礎力が人生の土台となり、いつかは必ず実を結び、生涯を通じて見事に花を咲かせ、世の為になる人材になってもらいたいと心から願います。
皆さんがこれから歩んでいく社会は、少子高齢化が進み、経済・社会のグローバル化の波が押し寄せ、人口知能やロボット、再生医療など新たな科学技術が進展する一方、震災からの復興、エネルギー問題、安全保障など様々な課題と向き合っていくことになります。間違いなく私たちの生活環境や働き方は、大きく変化をしていきます。このような予測不能な時代を生き抜くために、皆さんには「しなやかでたくましい」人格を備えてもらいたい。つまりは人間力の形成です。人間力とは人間としての幅や深さのことであり、教養といってもよいでしょう。教養という知的階層を自分の中に持つことは、思考の軸を正しく認識できるようになります。これを土台として社会や時代の変化に柔軟に対応できる力、多様な価値観を持つ人々との人間関係を築くとともに、様々な人種や文化を理解できる感性。そして人類が平和的に暮らしていくための幅広い知見を持ちながら、紛争が絶えない世界に独自の価値観で平和をもたらすことのできる新たな発想。そんなしなやかさを身に付けることにつながります。そのためにも、皆さんには地道に自分を磨くこと、常に自分を変革していこうという志を持つことが重要です。イギリスの生物学者であるダーウィンは、自身の著書「種の起源」の中で、進化の過程では、「最も強いものが生き残るのではなく、最も賢いものが生き残るものでもない。唯一生き残るのは、環境に合わせて変化し続けるものである」と述べています。まさにこれからの新しい時代を生きる私たちにとってヒントになり得ることばです。
 卒業生の皆さん、激励の意味をこめて、最後にもう一つことばを贈ります。
「前途は遠い。そして暗い。しかし、恐れてはならぬ。
恐れない者の前に道は開ける。」
これは、大正時代に活躍をした作家で、「或る女」、「カインの末裔」などで知られる有島武郎が、これから独り立ちしていく自分の子どもたちへ向けて、どのように生きていくべきか、勇気を与える意味で綴られたことば「小さき者へ」の中の最後のフレーズです。
前途を祝す卒業式の日に、「皆さんの未来は明るい」とエールを贈る方が良いのかも知れませんが、現実には世の中は混沌とし、本当に未知なるものです。そこに船出をするには不安が伴います。人間であるが故に自分の弱さを実感し、時に折れそうになることもあります。しかし、何事にも限りをつくして、正々堂々とその困難に立ち向かう「百折不撓」の精神が、皆さんの人生のよりどころにあるならば、臆することはありません。北海高校の卒業生としての誇りと自信を持って、強く、たくましく、自分らしく生きてください。
結びになりますが、皆さんが今日の日を迎えられたことは、決して一人ではなし得ないことだということを改めて心に留めてください。今日帰ったなら、ぜひ、これまでの感謝の気持ちを家族の方に伝えて欲しいと思います。少し照れてしまうかも知れませんが、皆さんが本当に大人として成長したところを表現してみてください。きっと喜んでくれるはずです。
卒業生の皆さんの健康と幸せ、そして益々の健闘を祈念して、以上私からのはなむけの言葉とします。

令和2年2月29日   
北海高等学校長 秋山 秀司

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