令和2年度修了式 校長講話
2021-03-22校長先生から
ただいま、大会の報告、今年度の優等賞など各賞の発表があましたが、それは何かと苦しい一年の中で、皆さんが努力した証です。本当におめでとうございます。新型コロナウイルスに関しては、現在は変異種の拡大が懸念されています。先日の野球の応援でも皆さんに協力してもらいましたが、どんな場面においても、私たちは気を抜かずに、この先も予防の徹底に取り組んでいきましょう。
さて、今年度は2ヶ月遅れによる授業、学校行事・部活動なども行えず、秋には再休校となってしまいました。授業の遅れは、だいたい取り戻せましたが、年間で予定していた講習を例にすると、3年生を優先したこともあり、1、2年生については計画通りには進めませんでした。大変申し訳なく思っています。
ただ、3年生の進路については明るい話もあります。コロナ禍での3年生の気持ちを察すると、少しでも早く進路先を決めたいという思いがあったと思いますが、確実に合格できる保障のない推薦入試に中途半端に時間を遣わず、むしろ自分の高校生活にもっと大きな意味を持たせようと、気持ちを切り替えて、本当に目指したい目標に妥協せず、一般受験にチャレンジした生徒が多くいました。
結果、国公立大学の合格者は、現在61名になっています。現役で55名を超えたのは久しぶりです。この他、早稲田、明治、立教、立命館、同志社など道外私大にも、多くの合格者が出ています。このように自分自身の考えに変化を持たせ、ピンチをチャンスに変えた先輩たちの成果は、皆さんにとっても大きな勇気になるものだと思っています。
今月1日は、本校の卒業式でしたが、そこで前生徒会長によって答辞が述べられました。コロナ禍を経験した北海高校での生活を振り返り、「繋がる」という言葉について話をされました。人とのつながり、社会とのつながり、命や記憶、伝統をつなぐなど、様々な観点で思いを語ってくれました。その内容には、北海に学んだ者として、それを土台にこれからどんな生き方をし、将来に渡り、母校北海とのつながりを大切にしたいというものでした。その力強い言葉に、私は精神的に自律している人間性の豊かさを感じました。
本来なら最高学年となった3年生が、高校生活のあらゆる場面で精一杯努力をする姿を、後輩たち、つまり皆さんが直接見ることで、自分もこうありたいと憧れのまなざしを向けられるものですが、そういった良い見本となる場面が、十分に伝わり切れない一年であったと思います。
あえて、私から卒業していった先輩たちのことを、ちょっとだけ表現するなら、優れていたと思うことは、まずは心の強さと優しさです。はじめから何でもできる器用さはなくとも、それを修正する力や互いを励まし高めあう力は素晴らしく、ものごとの善悪が判る大人の考え方ができる集団でした。今年の卒業生も人として質実剛健であり、行いとして百折不撓であったと思っています。
来年度は、いよいよ2年生諸君が集大成の学年となり、1年生が学校の中核を担う学年となります。ここで唐突かも知れませんが、皆さんは現時点で、自分は大人である。あるいは大人として振舞えているという自信はあるでしょうか。
当然、理解していることだと思いますが、来年4月から成人年齢が18歳に引き下げられます。保護者の同意なしにできることが増えますが、同時に自分の責任が社会的に厳しく問われるようになります。
今年1月、朝日新聞を読んでいると、大学進学をした学生が、家計への負担をかけまいと、SNSを利用する中で大金が手に入るという話に誘導され、その結果、大きな借金を作ってしまったという事例を目にしました。記事によると消費生活センターに寄せられる、この類の相談件数は年々増え、2万件近くにも上るとありました。そしてこれらの事例の半数近くが20代前半だということです。
こういったお金に関することばかりではなく、最近は情報化がより高度になって、ものごとを深く考えなくても便利な社会に生活することが可能になってきていることから、何も疑いを持たずに生活することは、常識から取り残され、様々なトラブルに巻き込まれていく可能性が高まります。既に皆さんのほとんどがスマートフォンを持っていますが、当然、メディアリテラシーにも精通しておくことが急務だと感じます。
改めて問いますが、皆さんは、まもなく大人になるという自覚はありますか。何をもって大人か。このことに自ら考えることは本当に重要です。
答えは一つではありませんが、端的にいうなら、まずは精神的に自分を律する自律が基礎となることを理解して下さい。自分勝手に考えない、相手を思いやる、自分と他者との違いを受け入れ、その違いを尊重する。そうすることができて、はじめて金銭的にも自立し、責任感を持って様々なことに挑戦することができるようになります。自分の歩む道を切り拓くためにも、どうか精神的自律が達成できているかどうかから見直をしてみてください。不足していることに気づけば速やかに改善していきましょう。そうすれば、先輩達のように、皆さんが掲げている希望も決して夢ではなく、必ず達成できるものになります。達成できるんだ。達成するんだ。という気概を持って新年度を迎える準備をすすめて下さい。すべては皆さんの意識からはじまります。
明日から春休みとなりますが、有意義な時間にできることに期待をして私からの話を終わります。