校長講話
2021-12-23校長先生から
皆さんおはようございます。今年も残すところ10日足らずです。昨日は、二十四節気の冬至でした。皆さんも知っている通り、冬至は一年で最も日中が短い日です。一夜明けた今日、12月23日は、昨日を境に再び太陽の力が甦ってくるという前向きな意味から、かつてこの日が新年とされていました。今日の全校集会は、そういった節目であることを意識して、普段皆さんが、様々な場面で取り組んでいる「努力する」ということについて話をしたいと思います。
以前、私が担任をしていたクラスのことになりますが、LHRの時間に討論の時間を設けていました。ある時、「努力は報われるか」というテーマで話し合ったことがあります。グループ毎の考えを一つにまとめて発表してもらったところ、全てのグループで「頑張れば、必ず結果がついてくる」という結論に至りました。主な理由には、「定期試験で頑張った分、良い成績がとれた」とか、「部活動で、出来なかったことが出来るようになった」とか、身近なところでの自分の実体験をもとにしたものが多く、中には著名なアスリートのポジティブな言葉を借りたものや、読書を通じて得た知識をもとに、自分が前向きな姿勢でいることなども理由に挙げていました。
この討論をしたのは3年生の秋で、推薦受験を控えていた時期でしたので、もしかすると生徒は、このテーマなら、こういう方向に持っていこうと、あえて意識していたかも知れません。あるいは、「努力は報われる」ということを、疑いなく信じたいという心理がはたらいていたかも知れません。実際、「努力は嘘をつかない」という言葉を聞くこともあります。
ですが私は、討論の最後の方で、誰か「努力は必ずしも報われない」という考えを持つ者はいないだろうか、と投げかけてみました。すると2人の生徒が手を挙げてくれました。理由を聞くと、「努力が必ず報われるというのなら、努力した人すべてが自分の願いを叶えられることになるはず。だけど絶対にそんなことはない」と現実を述べてくれました。
受験期を向かえて神経がピリピリしているような時に、「努力しても結果は必ずしもついて来ない」という言われ方は、誰もが聞きたくもないことだと私も思います。
私が今日、皆さんに伝えたいことは、決して努力への否定ではなく、「努力することはとても尊いもの」だということです。
自分が努力したということへの評価は、誰からでもなく、本来は自分自身のみができることなんだと私は思っています。
しかし、人から努力している、していないという客観的な評価も、とても重要なものです。なぜなら、「努力することの本質」を理解した上で努力をしていると、必ずどこかでそれが滲み出て、何らかの形で見えるようになるからです。そうすると、自然とより多くの人から応援されたり、支援を受けたりするようにもなってきます。しかし、本質を理解せず、自分の努力しているところを人にアピールしようという気持ちだけ無意識のうちに強くなっていたり、人の見ていないところでは手を抜いてしまうようなことがあると、滲み出てくるものが感じられず、努力は報われないままになってしまうこともあります。
「努力することの本質」とは、「努力しても報われるかどうかわからないけれど、それでも頑張らずにはいられないと、ひたすら努力すること」です。そこに大きな意義があります。「努力は簡単には報われない」「努力していることを、本当にわかってくれる人は、実はそう多いわけではない」そういうことがわかった上で、自分を飾ることなく打算抜きでする努力こそに本当の価値があることを、ぜひ皆さんに理解して欲しい。それが、北海生が大事にしている「質実剛健」が持つ意味の一つです。
北海生である皆さんには、そういう努力をして欲しい。そうすれば、例え願っていた通りの結果にならなくても、きっとそれに代わる報いが、必ず得られるはずです。結果を度外視しても止まぬ努力こそ尊い、そうした努力の在り方をわかっている人にこそ、最も良い結果がもたらされるべきである。私はそう強く信じています。
明日から冬休みに入ります。3年生は大学共通テストまであと23日となりました。コロナの感染拡大は収まってきているようにも見えますが、昨日には、約一カ月ぶりに札幌市内の感染者数が20名を超えました。今後も十分に気を付けなくてはなりません。受験勉強はもちろん、感染予防に対しても、これまで続けてきたことに粘り強く取り組み、より確かな基礎力のもと、これからのことがらに挑んで下さい。また、1、2年生の諸君には、今年一年の行く年をしっかりと省みて、新年には、改めて家族はじめ周りに対しても、今後の目標に対する強い決意を述べることができるよう、思考を重ねていってもらいたいと思います。寒さ厳しくなっていく時期になりますので、くれぐれも体調を崩すことのないよう過ごして下さい。皆さんの頑張りに期待をしています。以上で私からの話を終わります。